Family Portrait

国際結婚とはちょっと違う、外国人を親に持つ2世3世とフランス人との結婚。
この組み合わせは、今のパリでは非常に多く見られます。
 
ナタリー・レテは絵本、オブジェ、オモチャなどの人気アーチスト。
トマ・フジェルルはコンテンポラリーアートの画家。
ふたりも例外ではありません。
 
住居と同じ敷地内に各アトリエを持ち、ふたりの子どもとの生活。
そんなふたりが作り上げた”家族”ってどんなだろう?

トマ・フジェルルのインタビューです。

-002.Nathalie LÉTÉ & Thomas FOUGEIROL

photo©manabu MATSUNAGA
photo©manabu MATSUNAGA

コンテンポラリー・アートのシーンで、着実にその名を特別にしつつあるトマ・フジェルル。

パリのこのアトリエとN.Y.にアトリエを持ち、活動の場も世界へと広げている。

年間に4回はN.Y.へ渡り制作を行うため、3分の1は家族と離れて過ごす生活がここ何年か続いている。

だからこそ見えてくる家族のあり方、教育のこと、ナタリーとの距離感...。を話してもらいました。

photo©manabu MATSUNAGA
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家族を作るということは長いプロジェクト

家族って家と同じだと思う。家が壊れたらすぐに買い替えず、直して住み続けるでしょ? 家族だってそう。

ちょっと仲が悪くなったら話し合って許し合って、関係を修正して行く作業が絶対に必要。

そう言う意味では長いプロジェクトだと思ってるんだ。

ナタリーと僕はアトリエを別々に持っていて、別々の物を作り出している。自分の持っている世界観がそれぞれかなり違うと思う。

でも、何かを感じるポイントはすごく似ている。そのポイントに位置するのが、場所で言うと家。

ふたりの中間地点と言ったら良いのかも。

 

離れてわかったバランス

ニューヨークのアトリエに1年間の3分の1行っていて、現地の子供達の生活を垣間見て思うこと。

良い学校に入れることを重要視している。僕の子供達にそれはさせたくないと思った。

フランスでもその傾向はあるけれども、勉強だけではなく人生を豊かにすることに力を入れた教育が主流だと思う。

勉強での競争よりもバカンスや家族とのつながりに目を向けられるバランス感覚がとても大切だ。

極端なことを言うと、学校の成績は中ぐらいでいい。トップになるために1日の時間をすべて勉強に使うのは反対だ。

中ぐらいの成績を保つ勉強時間でちょうどいいと思うんだ。

 

ナタリー曰く少しマッチョ

日常生活では僕は少しマッチョなところがあるとナタリーは言っている。

たしかにこどもが小さいときは絶対的に必要なのは母親だし、夜中に僕が起きて子供の世話をすることはなかった。

子供が少し大きくなったきたあたりから、子供に関してはバランスが良いと思う(笑)。

具体的に言うと、朝の学校へ送り届けるのは僕。ナタリーは朝が弱いというのもあるが、パリではほとんどお父さんの役目。

家や学校の書類関係は70パーセント僕の仕事。

そして、PTA、学園祭、学校でのトラブル、先生との面談などはすべて僕。

そして、買い出し。まるでタクシーのように車を走らせる。

女だからとか性別で分けるんではなく、人には得意分野や逆に苦手なことなどある。

それをふまえた上で役割分担をすれば生活がスムーズだ。

 

自分をコントロールする力が必要

こどもが小さい頃は健康が一番で、食べ物を与え大きく育てる。子育てはカンタンだなーと思っていた。

だが、大きくなってくるとこどもからの問いかけにどう答えるか? やり取りが複雑になってくる。

確実に言えることは、自分がやっていることが子供に反映されるということ。

そして、子供それぞれの個性というかタイプを親が理解することが大切。

女の子は自分の気持ちをコントロールできる生き物だと思う。

でも、男の子はやりたい気持ちのコントロールができない。これには訓練がいると思う。

自分自身がその道を歩んできたから12歳のオスカーの気持ちがすごくよくわかる。

気持ちのコントロールができるように手助けをしていけたらと思う。

やりたいことに突き進んで行くことはとても大事だけれど、コントロールできる強さも必要だと思うから。

 

加えていくことが好きなナタリーと削ぎ落としていくのが好きなトマ

自分は常に変わっていくタイプ。

インテリアの棚を例にとると、僕は好きなものを置いてしばらくじっと干渉して、何日かしたらまた違う物を飾る。

常にチェンジしていたい。しかも、すっきりとひとつの物だけ置いて。

でも、ナタリーはオブジェが大好きで、せっかくすっきりさせた棚に、スペースが少しでもあるとどんどん飾り立てる。

彼女一人に任せるとフェスティバルのようになってしまう(笑)。

この違いが、生活を楽しくしていることはたしかだと思う。

そして「お互いの悪いところを認める」ことができるようになったのは、子供ができてからかもしれない。

 

photo©manabu MATSUNAGA                       ▲写真をクリックすると大きくなります▲

 

Thomas FOUGEIROL/トマ・フジェルル

Born in 1965 in France Lives and works in Paris, FR and New York, NY, US
1992 DNSEP, ENSBA, Paris, FR /1998 Coprim Foundation Award
One-person exhibitions: 2009 Praz-Delavallade, Berlin, DE /2008 The Emmaüs Bride, Praz-Delavallade, Paris, FR
2005 Par le ciel, Galerie Guigon, Paris, FR /2004 Fundaçion Antonio Perez, Cuenca, ES /Centre d’Art Présence Van Gogh, St Rémy de Provence, FR /FRAC Haute Normandie, Sotteville les Rouen, FR
2002 Paintings, Galerie Fred Lanzenberg, Bruxelles, BL /2001 22 Septembre, Galerie Guigon, Paris, FR
2000 A few easy pieces, Five Princelet Street Gallery, London, GB /A few easy pieces, Ferguson Mc Donald Gallery, London, GB

http://www.praz-delavallade.com/artists/Thomas_Fougeirol.html?from=artist_id

 

 

Column[パリの子ども部屋]でANGÈLEの部屋とOSKARの部屋をご覧になれます。

photo by Matsunaga Manabu
Interpreter by Jacgorno Junko
Text by chocolatmag