Family Portrait

国際結婚とはちょっと違う、外国人を親に持つ2世3世とフランス人との結婚。

この組み合わせは、今のパリでは非常に多く見られます。

 

ナタリー・レテは絵本、オブジェ、オモチャなどの人気アーチスト。

トマ・フジェルルはコンテンポラリーアートの画家。

ふたりも例外ではありません。

 

住居と同じ敷地内に各アトリエを持ち、ふたりの子どもとの生活。

そんなふたりが作り上げた”家族”ってどんなだろう?

ナタリー・レテのインタビューです。

 

-001.Nathalie LÉTÉ & Thomas FOUGEIROL

photo©manabu MATSUNAGA

 

 

ナタリー・レテの最近の活躍には目を見張るものがある。今シーズンはスーパーのMONOPRIXとのコラボアイテムが話題に。

そして、カリスマ食器ブランドのアスティエ・ドゥ・ヴィラットとのコラボなど、外に外にエネルギーを発散させている。

ナタリーはドイツ人の母と中国人の父を持つフランス生まれのフランス育ち。

そして、何代もさかのぼってもフランス人のトマ・フジェルルと結婚している。

トマ曰く、ナタリーは自分の代でしっかりとフランスに根付こうとしていて、この時点で自分とは大きな違いがある。

そんな彼らの子供達はふたり、家の中で静かに過ごすのが好きな15歳長女のアンジェル、外へ出て自由にしたい12歳長男のオスカー。

こんな構成の家族の中でナタリーが考える事。お伝えします。

 

子どもの成長と共に私の作る作品も変わってきている

子どもができる前から絵本やオモチャなどを作ってきたけれども、自分の子どもが産まれてから本当にやりたいことが出来るようになった。作品がリアルになった。今までは身の回りになかった、オモチャのデッサンを描くことも多くなりました。そして、子どもが小さいときには沢山のぬいぐるみを作り、もう少し大きくなってくると絵本を描き、男の子が産まれればスパイダーマン風のぬいぐるみを作り、ひとり部屋ができればそれに合ったクッションを作り...。私の中には子どもの世界というのが常にあって、それと一緒に作品が成長していく。出来上がっていく。というスタイルなので、仕事との両立というより仕事と育児のミックスという感じです。

テーマを決めてものを作る時、例えば”森の中”そこにオモチャがたたずんでいるとすると、今まではそれが自分だった。でも、子どもが産まれてから自分と子供達、と作品に幅が出来たのはたしかです。

 

家族一緒の時間が何よりも大切

もう子供達も大きくなってきて、一緒にいる時間は少なくなりました。でも、1日の生活の中で夕方からの時間を大切にしています。食事の支度から方付けまでの何時間かは家族がそろうように努力しています。そこで、色々な話をしたり笑ったり、これはとても大事なこと。私たちは家族4人そろった毎年のバカンスも印象深い想い出ばかり。夏のバカンスはいろいろな国を旅行して回るのが好き。最近では中国に行き、4人で自転車で旅をしたけれど、エピソードは尽きません。冬はここのところスイスのヴァルスでスキーを4人でします。バカンス中は〈これをやらなければならない〉という事がないので、みんなリラックスした状態でいる。そんな家族関係と知らない街への旅は本当に素晴らしい体験や経験になるんです。

 

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フランスは公立の学校が魅力的

私もトマも幼稚園から公立の学校で学びました。いやな思いをした事もないし教育面でもそれなりに満足しています。子ども達も公立があたり前という感じです。それよりも親がするべき事は、人生のクオリティを高めるための手助けだと思う。学校のない水曜日や土曜日に習い事をさせるのはとても良い事だと思うんです。

15歳のアンジェルはまずは私から提案してバレエを習いました。本気のクラシックバレエだったのですごく厳しく、小さかった彼女には向かなかった。半年でやめました。その後モダンバレエを3年間。それと平行して7歳からピアノを今現在まで続けています。ピアノは右手と左手で同時に違う事をしますよね、脳の色々な部分を刺激してとても頭に良い影響を与えると思います。ピアノを始めてから半年で勉強がクラスでトップに! 集中力もかなり付きました。でも、ピアノはもう人に教わるのではなく、自由にひきたいというのでやめるでしょう。これからはヨガに挑戦したいらしい。将来は絵を描く事が好きなのでデザイナーになりたいと言っています。色々な物を見てそれがすべて彼女の財産になる事を願っています。

さて、12歳のオスカーは体を動かすことを色々と体験しています。テニス、アーチェリー、ダンス.....今はギターをやりたいと言い出していて、でも、とにかくじっとしていない(笑)。どこでもインラインスケートで移動しているし、食事のときしか帰ってきません。でも、今の彼の年齢ならばそれでいいのかもしれません。

 

私の両親と私たちはかなり違う

私たちは子ども達にのびのび育ってほしいと思っている。私の両親はちょっと違いました。でも、子どもが出来て私が変わった。そして、両親との関係も良く変わった。親として子どもに伝えたい事を伝えるのがいかに大変で複雑な事か! 理解できるようになりました。そして、どんなに人間として違っていても、親が子どもを“愛している”ということは共通だということも。

 

 

次号はトマ・フジェルルのインタビューです。ナタリーと自分との違い、ビックリな子育て価値観に乞うご期待!

ナタリー・レテ/Nathalie LÉTÉ

1964年パリ生まれ。テキスタイル、リトグラフやセラミックなど幅広い作品スタイルを持つ。子供の頃の思い出や、日常の生活の身近なことからインスピレーションを得る作品はカラフル、どことなくユーモラス、ハッピー、シニカルで日本でも大人気。15歳の女の子.12歳の男の子の母でもある。

 

Nathalie lete was born in 1964. She lives and works in paris. She works in many ways, mixing different techniques and mediums, illustration, ceramics, textile and painting… She is inspired by her travels, but also by the mixing of vintage toys and old engravings of flowers and animals. Her work is colourful, naive and poetic, sometimes strange, to the point of tending towards art brut. Her world is nurtured by popular and folk art. She produces children’s and graphic’s books, knitted and stuffed toys, glass pictures, patterned dishes, but also postcards,ceramic sculptures, silkscreen printed t-shirts, rugs and jewels in limited edition… both for herself and for commissions.

 

www.nathalie-lete.com

 

 

コラム[パリの子ども部屋]でANGÈLEの部屋とOSKARの部屋をご覧になれます。

photo by Matsunaga Manabu
Interpreter by Jacgorno Junko
Text by chocolatmag