-006.ヴァンヴの蚤の市<2>

私はパリでは南のはずれ、14区に住んでいました。ヴァンヴの蚤の市までバスで7分のところ。
ずいぶん昔、例によって朝の4時に仕事を終えて、ベッドに入ったけど、寝返り、寝返り、数を数えても頭がヒートしっぱなしで眠れない・・・ダメだ・・・ええいっ! それならヴァンヴに行ってしまえと、決心。バスもないので、徒歩で。ギンギンの状態だから、まるで軍隊のようにシャキシャキと行進。でも、ヴァンヴに着いたら、早すぎてまだ誰もいませんでした。のらりくらりと散歩していたら、ビビビ~ンと、なんと両足のふくらはぎがつってしまい、立っていられなくて、その場にしゃがみこむ。これ、超痛いんですよ、両足攣り。イタタタタタタタ・・・タタ・・・動けません。寝不足+疲れ+ギンギン+軍隊歩行=両足攣り。なってないけど、どうせ誰もいないし、足を伸ばしたりしてたら、遠くに商人が準備をしているのが見え、行きたいけど、匍匐前進か四つんばいじゃなきゃ動けず、断念。落ち着いてきたと思ったら、頭上から「兄ちゃん、そこに店ひろげるから退けて」と無情の商人の声。

「私、足つってま~す!」なんていっても仕方ないので、脇にどけて運ばれてくるものを物色です。子供用の玩具がたくさんあったので、遊んじゃったり、並べてみたりして(笑)。ノスタルジーですかね。ふと「ああ、あのおもちゃ、とっておくんだった」と感慨にふけること、しきり。お母さん、お父さんも子供のおもちゃ、とっておいてあげてくださいね。価値が出るかもしれないし! そのうちクー・ドゥ・カミオン(ヴィッド・グルニエの原稿内で説明した朝一で車の後ろにいて降ろされる荷物をすぐ物色するハイエナのような人たち)がワサワサと現れ始め、しゃがみこんでる場合じゃないと、痛い足を引きずりながらお宝探しを開始したんです。怪しい動物を描いた手描きタイルを見つけて、外見はポーカーフェイスでも内心狂喜乱舞! 私は子供の絵や精神を病んでいる人たちが描くナイーヴ・アートが専門分野。私のフェティッシュ動物のアザラシの絵もあるので魅かれたんですが、そのアザラシが「お前、これ、ほんとにアザラシ?アザラシ見たことあんの?」(写真の左から2番目・ムーミンの親戚みたいなやつ)ぐらい別の動物。そこにまた心動かされてしまい(そう、私も相当変なわけで)

絶対に欲しい・・・が、お値段が6枚セットで500フラン(約1万円)だと・・・お高い・・・なぁと、固まっていると、商人が「あんた、業者?」と聞くので、もちろん勢いつけて「OUI!」と答えました。そしたら、「じゃあ、半額ね」だと!半額・・・素敵に即購入。ついでに「最近は商売も厳しいよね~」なんて、業者風まで吹かせてみました。その後は「わては業者じゃ!」といわなくても、値切るとホイホイ安くなる。舞い上がって、気づいたら持ちきれないほど購入していたから、ちょっと危険かも。なんだか、商人と買い手がみんな顔見知りのようで、握手して挨拶してる。同業者やマニアがほとんどなんだろうけど、やはり早朝に通い詰めなきゃと実感。ヴァンヴは土日開催なので、土曜の朝一に商品が勢ぞろいなので、皆さんも早朝狙いで行きましょう。で、早起きだけでなく、徹夜明けも『三文の得』というのが、今回のお勉強でした。

<1月〜 パリのブロカント、V.G.予定>
1/8-9 10区/Boulvard Bonne Nouvelle (1/8から)
1/9  20区/rue Belgrand (中止になる可能性も)
1/15-16 13区/Boulvard de l’Hpital
1/22-23 2区/Boulvard Poissoniere :11区/Boulvard Voltaire
1/30  12区/Avenue Ledru Rollin
中止・延期になることもあります。ご了承を。(早朝・午前~18h.19hごろまで)
冬場は開催がグ~~ンと減ります。

今月の「小躍りしながら購入した逸品」-006.

もう、絶対買い! 逃しませんで~の一点。

木とレザー製の手作りのミニチュア椅子。わが地方、トゥーレーヌのエンブレム入り。
もちろん座る部分がオープンして物入れに。

今月の「なんでまた こんなの買っちゃったんだろう・・・」-006.
徹夜明けで通うこともあるブロカント、まさにまがさしてしまい、、、

お詫び:この「まがさし品」が一番楽しみの方も多いと思いますが、今月は全てばっちりでした。
ごめんなさい。次回はきっとはずしてみせます。

今月の「これは何でしょう?」-006.
これは何に使うもの?と聞いてみなくちゃ、わからない。


ヒント: 答えはものに書いてありますが、新年なので特別に易しく。

*005の正解:<靴のディスプレイ用品>
靴の踵を乗せて角度をつけて見せるためのもの。これも逸品!

colunm by Takaki
ジャーナリスト、コーディネーター、クリエーター
何でもコーディネートしちゃいます
ブロカント品のバイイングもメイン仕事の一つ
BRUTUS誌にパリのコラム連載中