2014年

11月

29日

-045."心地よさ"のつくりかた

今回は、Chocolat papaが写真を担当した本2冊の共著者・角野恵子さんが、心地いいインテリア作りについて思うことを
まとめたエッセイの投稿です。

[週刊Chocolat maman]では、これからも日々のNEWSや今回のように素敵な方々の単発エッセイもご紹介していきます。

[Jam]

https://www.facebook.com/pages/Jam/477458019015069

[walvis]

https://www.facebook.com/cafewalvis



ぶらりと入ったカフェで休憩していると、「ここはずいぶん居心地が良いな」と感じることはありませんか?
その心地よさがどこから来るのか、考えるでもなく眺めるうちに、少しずつ、面白いディテールが目に止まり始めます。そして店を出る頃は、「なるほど、だから心地いいのか」と納得している。

私が「心地よい」と感じる空間は、マーケティングのにおいのない、オーナーの人となりがにじみ出たような、カフェやブティックに多いようです。
もちろん、大資本を投入したデザイン空間も好きですが、こんなふうにふと巡り会う、何でもなさそうでいて実は味わい深い空間の、癒し効果といったらありません。いつまでもそこに座っていたくなり、同時に、またここに来ようと心に誓っているのです。

そんな、特別な居心地よさのあるカフェを2軒、ご紹介します。どちらも場所はベルギーで、1軒はアントワープの『ジャム』、もう1軒はブリュッセルの『ヴァルヴィス』。

小さなレストラン『ジャム』は、DIYとひとめで分かる、ブルーにペイントした外壁が目印。石畳に広々と並ぶテーブルと椅子、そして店内のそれらは、「わざわざバラバラにするのがモットーなのかな?」と思うくらい、そろいのものはありません。どうも、中古家具の寄せ集めだから、バラバラになっている模様。それでいて、このバラバラがなんともチャーミングで、テーブルのはげ落ちたペンキまでも、おしゃれに見えるから不思議です。しかもなんと、壁に据え付けた棚は、スケートボードのリユーズなのでした。
オーナーはスケートボードが趣味で、もしかしたら、小さなお子さんがいるかも知れません。スローな空想に寄り添うように、時間もゆっくりと行きます。



カフェ『ヴァルヴィス』は、インダストリアルなディテールが満載の、広々空間です。天井はスチール、ラジエーターは昔ながらの鋳物。窓枠や壁は木製で、テーブルや椅子も、使い込んだ木のものがメインです。
メタル×ウッドの組み合わせはもちろん、カウンターのスツールに明るい柄のテキスタイルを取り入れるなど、甘辛のバランスが抜群ですよね。
もしかすると、ここはもともと、自転車修理工房だったのかもしれません。天井に吊した自転車は、オブジェなのか、収納なのか・・・?




『ジャム』、『ヴァルヴィス』、どちらにも、彼ら一流のインテリアのポイントがあると感じます。『ジャム』はバラバラの中古家具、『ヴァルヴィス』はマテリアルの持ち味を生かすこと。そして共通点は、自分にとっての”心地よさ”を形にする意思、ではないでしょうか。

「賃貸の家だから、壁に釘を打てない。絵も飾れない」
「持ち家だけど、数年後に転売したいから、やっぱり釘は打ちたくない」
「理想のインテリアでそろえるのは、お金がかかりすぎてムリ」etc. etc…

住まい作りに、問題や障害はつきもの。『ジャム』や『ヴァルヴィス』にも、きっと問題や障害はあるはずです。面積、予算、間取り・・・ネガティブ要素までもとりこんで、自分にとっての“心地よさ”を形にしているからこそ、世界にここだけと感じさせる個性が生まれるのでしょう。
そう気づかせてくれる空間のエスプリを、自分の住まい作りに役立てない手はありません。“心地よさ”のカギは、お金よりも工夫にある、と、証明してくれているのですから。

Column by Keiko SUMINO-LEBLANC
パリ在住ライター&コーディネーター
食とライフスタイルを専門に、日仏のメディアに寄稿
近共著小さな部屋でセンスよく暮らす パリのインテリア
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