-001.自分の手でつくってみる

 

 

 

紅葉も終わって、京都はすっかり冬景色へと姿を変えています。これからの時期は、温かい珈琲でも飲みながら工作をするのが楽しみです。京都は抹茶のイメージが強いですが、実は、ほうじ茶の種類もとても豊富でお菓子に合わせると美味しく。香ばしい香りがまるで珈琲を飲んだときのように気分を変えてくれます。

 

僕は日々、グラフィックデザインを仕事にしながら、2週間に1回くらい工作のワークショップをしています。毎日手を動かしているとたくさんのなぜ?なんで?スイッチが入ってとてもワクワクするんです。

 

例えば、丸と三角と四角以外のカタチは、なんて表現したら良いんだろうか?こんな疑問がわきました。いろいろな人に聞いてみようと工作室で訪ねました。すると、こどもたちは、うさぎーとかハートとか何かに似ている形で答えます。見立てが始まったんです。あーなるほど。これって何か遊びにならないかなぁ?

 

そんな思いから生まれた遊びが、アルフェテ工作室のメニュー「紙の積み木」です。形と色で遊ぶ工作のメニューは、平面の積み木です。お家をつくったり、動物をつくったり、ランチプレートだってつくれます。みんなと一緒に積み木で遊んでいると、こどもは“見る”ということに長けているなぁといつも思う瞬間があります。好きな色、好きな形。へんなところ。細部に隠れたワクワクをみつける天才です。

 

そして、その天才たちと遊んでいたころ。ちょうど 1ヶ月くらい前ですが、縁あって連載のお話を頂きました。どんな原稿が書けるだろうと考えましたが、やっぱり遊び場をつくることがボクたちのやりたいことだと思いました。京都の様子をお伝えしながら、まずは、みなさんと遊びをつくることから始められないかなぁと思っています。

 

こどもと遊ぶ場をつくるために、ボクたちは机から自分でつくってみたりしています。(これは、ちょうどいいものがみつからないということやお金が無いという理由で。) 自分でつくってみると物の関係に少し気づけたり、物の価値を考えることが出来ます。それから、 無心で作る時間も心地いいんです。それが、みんなで遊ぶひとつのおもちゃとなることが嬉しい。

 

ところで、原稿を書いていてこんなことを思い出しました。仕事柄ものづくりの作家さんとお話をする機会が多いです。その会話のひとつに「“欲しい物があるときは買う”という選択肢が当たり前ですもんね。」という話を聞くことがありました。考えさせられるお話でした。それだけ、いろいろな環境が整ったのかもしれません。そう考えると物とのつき合い方が曖昧になっているのかも。

 

偶然。買えなかったことで、つくらなければいけない状況に。そのおかげで“自分でつくる”ということが、物と付き合う良いヒントになるんではないか?と思いました。工作は、 決して特別なものでは無いと思っています。今ここにあるものでどうやって楽しむか?そういうポジティブな遊びが大好きです。そして、自分自身でつくることで皮膚感覚みたく、新しいことに出会いたいと思っています。そうDIYするように。

 

京都からこの連載を通して、そんな遊びを探していけたらと思っています。パリと京都でどんな遊び場が出来るでしょうか?(パリにも工作に行きたいなぁ。) では、また来月にお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎アルフェテ工作室とは?

 

京都を拠点に“こどもと遊ぶ場”をつくることを目的として、全国のカフェ、本屋、美術館など様々な場所で図画工作のワークショップを行っています。観察することや工夫することを大切にした工作のメニューは、3歳くらいからおとなまで楽しめる遊びです。

 

WEB   arfete.com

Facebook  https://www.facebook.com/arfete.KYOTO

twitter  https://twitter.com/AFTERSCHOOOOOL

 


column by やぎともひろ / Motohiro Yagi

京都を拠点として活動するグラフィックデザイナー

根っからのくいしんぼう。食べること&こどもと遊ぶことが大好き

こどもと遊ぶ場をつくることを目的とした“アルフェテ”の運営も行っています

arfete.com