-027.男の子のおままごと


みなさまこんにちは。

 

今回は、食欲の秋にちなんで?4歳の次男、イウと料理について話してみようと思います。

 

我が家の次男は、思えばかなり小さな頃から「おままごと」が大好きだったようなのです。

保育園にあるキッチンセットはかなりお気に入りのコーナーとして彼のテリトリーとして確保されていましたし、園に送りに行って私が立ち去ろうとすると、「ちょっと待って。行く前にコーヒー作ってあげるから」と言ってプラスチックカップに空想の美味しいコーヒーを、たっぷりのミルクと少しのお砂糖で毎朝のように美味しく入れてくれた時期もありました。

 

なのですが、彼は男の子だということもあり、大きなキッチンセットを家に買うのは場所もとるし、プラスチックは嫌だからと木製のものを探すと結構値段も高かったり、家に置いても良くて、かつ男の子に似合うデザインのものもなかなかないし、という感じでそういう彼の嗜好をおもちゃを買うことでは受け入れてあげないまま4歳になってしまっていたのです。

 

他のどんな遊びもそうですが、子供はある特定の遊びに集中して夢中になる時期があり、しばらくするとそれが波のように去って忘れてしまいますよね。そこで、我が家では、イウにその「おままごと」の波が来ると、日本でおじいちゃんに買ってもらった唯一のままごとキットの野菜スープセットに、間に合わせで普段あまり使わない小さな本物のお皿や、スーパーで買ってきた一袋1ユーロくらいの乾燥したいんげん豆とか、麺類の代わりにリボンとか、古いフライパンとか、間に合わせまたは身近に手に入る安い材料を適当に与えておままごとをさせています。

 

今回もかれこれもう数度目の波なのですが、今回はちょっと本格的になってきたような気がします。

 

ひとつのきっかけは、ここカタルーニャで30年も続いている、季節番組「キノコ狩人(Caçadors de bolets)」を、ネットで見られるようになり、大人も子供もすっかり夢中になってしまったこと、その番組は、秋に、カタルーニャ各地の山や森でキノコが取れる時期にだけ放映されるのですが、キノコ探しに夢中になっている人たちへのインタビュー、彼らと楽しむキノコ狩り、食べられるキノコとそうでないキノコの見分け方、キノコの種類や特性、その生態の不思議、そして普通の家庭から、一流シェフまでが登場して特別にレシピを公開しながら作ってくれる美味しいキノコ料理など、こちらのキノコにあまり詳しくなかった私でも夢中になってしまう盛りだくさんな内容なのです。

 

そこに加えて今年はその主役であるキノコたちがキャラクターのようにそれぞれの顔と性格をもって会話をするコーナーなんかもあって、子供達も真似をしだして盛り上がり、毎週のように楽しみに見ていたのですが、その後繰り広げられるキノコ狩りの様子、そしてその料理の様子を見て、特にイウの方が完全に釘付けになってしまったのでした。

 

包丁でキノコを切ったり、火にかけたフライパンを上手に動かして均一に火を通したり、調味料を加えたり、お皿に並べたり。そういう一連の動作がきっとなんだかパフォーマンスのように魅力的に見えたのでしょうね。

 

それ以来、私が台所で料理をしているときも、これまでは卵割り(コンコン、カパっと割るときの、主にコンコンの部分を担当)と、お皿を洗うのを担当するのが好きだったのですが、包丁でキノコを切ったり(にんじんなど硬いものはまだちょっと危ないのですが)火にかけたクレープをひっくり返したり、なんかもかなり上手にできるようになりました。

 

そして嬉しかったのが、その番組にこちらの日本食レストラン「KOI SHUNKA」のシェフ、マツヒサヒデキさんが登場してこちらのキノコRovellonsとイベリコ豚を使った柔麺というメニューを作っていたのですが、この回のビデオをイウがそれはそれは気に入って、昆布やかつおぶしで出汁を取るとか、炒めもののときに醤油は一番最後にささっと回しかけるとか、和食の基本的なところをそれを見て覚えてくれたようなのです。早速見よう見まねでこのレシピに挑戦してみましたが、イウはすっかり日本人シェフの気分で盛り上がっていました(笑)

 

で、それ以来、間に合わせのおもちゃを使ったままごとでも、麺類と、昆布が頻繁に登場するようになりました。ちなみにこんぶは、「こんぶのぶーさん」という面白い絵本をこの夏読んで、「ああ、まんざいしのぶーさんね」と彼の中でも注目を置く存在になっていたことも大きかったようです。

 

そんなわけで、彼のおままごとはあまり家庭的な感じではなく、飲食店っぽい感じで展開していきます。材料を切り、火を通して盛り付けをし、まな板の上にできたお皿とお箸を並べて、私達に食べさせてくれる間、美味しいかどうかじーっと見て、ごちそうさまでしたの合図があると、ささっとお皿を片付けて洗い、次のお皿を出してきます。

 

私自身が子供の頃にしたおままごとは、お母さん役と子供役の役作りの方に重点が置かれていたような記憶があったので、もちろん男の子と女の子の違いだけではないのでしょうけれど、男の子のおままごと、というのも面白いなあ、と思うこの頃なのでした。きっと女の子のサッカーとか、いろいろ観察すると面白いケースもあるのでしょうね。これからいろいろな親子たちと話していきたいと思っています。

ではみなさん次回まで、どうぞごきげんよう。

Column by Tomoko SAKAMOTO

カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に

ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)

というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです

「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに二人の男の子を育てています