-017.「Sorry」よりも「Thank you!」

7年前の渡英間もない頃は全てが目新しく慣れない事の連続でした。

なかでも当時の私にとって、まさに青天の霹靂!目から鱗!だった出来事を

今日はお話しようと思います。

 

ある日のこと、狭い歩道を歩いていると後ろから人がぐんぐん近づいてくる気配。

私は一生懸命に歩調を早め背後の人と距離をおこうとしましたが

後ろの人は空気を読む事もなく、ますます歩調を早めぴったり後につく感じ。

急かされ追い立てられるような威圧感を背中に感じ、

私は内心かなりイライラしていました。

そしてついに観念して足を止め、むっとしながら振り向き

無言で背後の人を先に行かせようとしたのです。

 

そんな私の心情とはうらはらに、その人はなんと思わぬニッコリ笑顔で

「Thank you!」と爽やかに言ってのけたのです。

これには本当に深い意味でのカルチャーショックを受けました。

その感じの良い笑顔に、つい先ほどまで相手に対してイライラMAXだった私の心は

完全に動揺してしまったものです。

私が道を譲ってもらう立場なら、間違いなく「すみません=Sorry」と言っていたことでしょう。

「すみません」と相手に言われて道を譲ったならば

恐らく私の心はむっとしたままだったことでしょう。

しかし笑顔で「Thank you!」と言われた瞬間に私の心はフワリと軽くなり

とても暖かい気持ちになりました。

 

その後何度も同じようなシチュエーションに出くわしましたが

私ももう背後に迫って来る感じにもイライラする事もなく

笑顔で「After You!=お先にどうぞ!」と道を譲るように。

そして譲られた人も必ず笑顔で「Thank you!」と言ってくれます。

 

日本人は謙虚さを美徳とする文化。勿論すばらしい事だと思います。

私も小さな頃からずっとずっと「謙虚さ」を教えられて生きて来ました。

しかしこの年になってその「謙虚さ」というものが

時に「自己肯定感の低さ」というような現象を引き起こしている事に気づき始めました。

 

例えば人から何かをいただいた時、してもらった時、

「すみません」と言っていませんか?

レストランでお茶やおしぼりを出されて「すみません」と言っていませんか?

「すみません」はとても便利な言葉で色々なシーンで使用できますが

本来は「謝っても謝ってもすむことではない」という「断り」の意味なのだそう。。。

 

すみません。すみません。と言いながら生きるよりも時には笑顔で「ありがとう!」

そう言える生き方が出来れば、自分も嬉しく言われた相手もハッピーな気持ちに。

「ありがとう」がスムーズに口から出るようになれば

人生がどれほど堂々として明るくシャンとする事でしょうか!

ちなみにこちらの幼稚園では言葉を喋り始める子供に対し、まず歌とともに

「Please」と「Thank You」という二つの言葉を徹底的に教えます。

とても愛のある教育方法だなと思います。

 

笑顔で心を込めて「Thank you」。

自分に自信をもって。堂々と。

「Sorry」よりも「Thank you!」

そういう心意気で人生好転させていきたいものです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!

 

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アンティークレースなどを使用したコラージュアートカード。

今回のコラム用に思いを込め『Thank youカード』を制作しました。

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column by Masae Lamsdale/ラムズデール 昌栄
グラフィックデザイナー/1973年広島県生まれ
都内デザイン事務所勤務を経て、2000年より独立
夫と5歳になる息子、蒼一郎(そういちろう)とイギリス在住
ヴィンテージのデザインやタイポグラフィ、家具が好きで
グッドデザインに基づいたバイイング活動も始動中
イギリスデザイン・ヴィンテージのオンラインショップ&Stillをオープン
http://www.andstill-vintage.com/