-022.エレクトロニック・ピクニックとサンジョアンの花火祭


PIKNIC ELECTRONIC + SANT JOAN

バルセロナの学校では、6月24日のサンジョアンのお祭りを境に、長い夏休みが始まりました。
寒暖の差の激しい春が終わっていよいよ本格的な夏の到来です。
今年もまた子供達といろんな遊びをしてみたいといろいろ考えていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

さて、先週の日曜日、友人に誘われて、「ピクニック・エレクトロニック」という楽しいイベントに参加してきたので、今回はその話をしてみようと思います。

昨年、二年前と、バルセロナが世界に誇る最先端音楽フェスティバル「Sonar(ソナール)」とその子供版イベント「ソナール・キッズ」の話を書きましたが、「子供が出来てからも音楽を、コンサートを、踊ることを楽しみたい」と思う親のニーズというのはこちらではとても強いようです。春のロック・ポップ・ ミュージックの祭典「プリマヴェラ・サウンド」にも託児所が設けられていますし、子供達の耳を守るためのヘッドフォン型耳栓も、すっかりおなじみになりました。

この「ピクニック・エレクトロニック」は、そういった流れの延長にあるイベントですが、大人にとっても子供にとってもとことんユーザーフレンドリーなところが感動的ですらある、そんなイベントでした。

 

会場は、ミロ美術館やオリンピックスタジアムなどで有名なモンジュイックの丘の中腹にある、ブロッサ公園。カタルーニャが誇るアーティスト兼パフォーマーであったジョアン・ブロッサの名を冠した美しく、遊具も植栽も大変充実した公園の広場を借りきっています。周りに住宅地がないので、音楽をかけてもご近所さんに迷惑をかけることもありませんし、モンジュイックの丘頂へ向かうロープ・ウェイからこのフェスティバルを見下ろせることもあって、おそらく面白い宣伝効果も期待できそう。

公式写真家に撮ってもらった私達の写真がここに!http://on.fb.me/16DEaV1


 

友人から話を聞いたときは、一回限りのイベントだと思ったのですが、実は6月上旬から9月まで、毎週日曜日に行われているものだそう。ピクニック、を謳っているだけあって、基本的には皆飲食物を持参して、中央の木陰にあるピクニック・エリアでのんびり気の合う仲間と手作りランチを食べながら、音楽を楽しみます。そして会場内には、ピザやクレープなどの軽食を中心にした軽食のスタンドもあり、飲み物も、ビールやジュース、コーヒーはもちろん、仲間皆で飲めるようにということで1リットルのピッチャー入り手作りサングリアなんていう選択肢もあってまさにいたれりつくせりです。

 

コンサート会場がメインではありますが、何と言っても嬉しいのは遊具の数々。空気膜エアー遊具というのですか、上でぴょんぴょん飛び跳ねて遊べる滑り台、 サッカーコートなどが幾つもあり、親子で対決できるバドミントンコートや、プロの指導で子供がスケボーを習うコーナー、メイクアップと仮装を楽しむエリア など、あらゆる年代の子供を飽きさせない工夫でいっぱいです。すべて音が届く場所にあるので、踊りたい人は踊りながら、音楽を聞きながら、めいっぱい遊ぶのです。

(写真だけ見ると温とイウが気に入ったスポーツが逆みたいですが・・・)


今回、温ははじめてのバドミントン、最初はまったくラケットに羽が当たらなかったのに、30分もしないうちにかなり試合になるようになって驚きました。ラ ケットは一種類だけでしたが羽はプラスチック製の軽いものと本物の羽を使ったちょっと本格的なものがあって、大人同士で遊んでももちろんOKです。私も昔 父や弟と一緒によく遊んだなあ、としみじみ思い出し、こんどバドミントンのラケットを買いに行かなくちゃ、と思いました。子供が出来るとなんだかんだとすべてのスポーツの道具を一式揃えるはめになりますね。

一方イウが気に入ったのはスケボー。先生が付いていてくれるので転んで怪我をする心配はほとんど皆無ですが、時々頃合いを見計らって手を離してくれるので、 子供達も「見て見て、自分で滑ってるでしょ!」と大喜びです(足を動かさない、という以外に特にしていることもないように見えますが)。こんな小さな教室ですが、もちろん念のためにヘルメットを着用し、許諾書にサインもさせられます。

 

我が家の息子たちは参加しませんでしたが、そして友人家族の3歳の娘が一番頑張っていたのは仮装グッズ作りのワークショップ。小さな紙箱に使わなくなったフィルムや羽、シールやリボンを付けてパーティーハットを作っていました。これももちろん大人がやってもいいのです。

 

お弁当もそこそこに遊び場へ突進し、夕方になっても帰りたがらないくらいの気に入りぶり。ヘトヘトになっては一休みし、水を飲んで果物をちょっとかじってはまた別の遊具へと戻っていくのでした。


私達が訪れたこの日はちょっと曇り空で、お陰で日焼けでヒリヒリしなくて助かりましたが、コンサート会場後方には、ミストシャワーを浴びられるコーナーがありました。これは夏の暑い日差しの中ではすごく重宝しそうです。

この日はその誘ってくれた友人の友人、ギヤミーノというアーティストのコンサートがあったのですが、ランチの時にテーブルへ挨拶に来てくれて、なんと日本語が話せるのでびっくり。自分のことを「歌手です」と言っていましたが(日本人なら逆に英語でシンガーです、とか言いそうなのに 笑)、パフォーマンスを実際に見てみたら、「歌うDJ」という表現がぴったり。良く通るかっこいい歌声と素敵な選曲で会場をすっかり魅了していました。

うれしいのは、これだけ楽しめて、子供は12歳まで入場無料なことと、大人も入場料8ユーロ(午後4時以降は10ユーロ)ととてもリーズナブルなこと。 SonarやPrimavera Soundのように沢山のコンサートが同時多発的に行われてはいないのですが、これだけ楽しめて値段もSonarの数分の一なら、是非また今度は別の友人を誘って来たい!と思いました。

私たちはその後サンジョアンの花火祭りがあったので夕方6時頃には 会場を後にしましたが、このイベントは13時から22時まで続き、基本的に音楽は大人向けで、沢山の子供連れも居ますが、若者同士で、しかも外国から来ているらしい人たちもたくさん居ました。夏にバルセロナを訪れる予定がある方には、特に家族連れの方には是非!おすすめします。

これだけヘトヘトになり、イウはお昼寝もしないでそのまま夜の花火会まで頑張りました。学校のクラスメートの家族と夕食を楽しんだ後、我が家では温が生まれて以来はじめてこの花火会から「逃避」せずに、花火をバルセロナで楽しむ側に回って過ごした、そんな記念すべき年でもありました。一年で最も短い夜を祝う このイベントのお陰で翌日は家族全員寝坊&寝不足です。

みなさんも、素敵な夏休みをお過ごしください!


Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに二人の男の子を育てています