-018.2つ目のクリスマス

みなさまあけましておめでとうございます!
2013年も、2013年は、新しい素敵な出来事にあふれる年になりますように!
子供達と一緒に大人も負けずに成長して行きたいと思っています。



さて前回年末の記事でお話した2つのクリスマスの第二回目、レイスと呼ばれる「東方の三博士の訪問」が1月6日にありました。今回はそのことについて書こうと思います。

もともと、ここカタルーニャでは、カガティオとレイスの2つのうち、「子供が素敵なプレゼントをもらえる日」として位置づけられているのはレイスの方です。他の国でサンタクロースが居るように、子供達は博士たち(こちらでは王様たち、と訳されています)に、「去年一年はとってもいい子にしていました。勉強したり、友達をたくさん作ったり、兄弟で仲良くしたり、お父さんお母さんの手伝いをしたり・・・。そこで、もしこんなものが貰えたらいいなあというプレゼントのリクエストのリストを送ります。」という手紙を書くのです。

そしてその手紙を子供達から受け取ってくれるその東方の三博士たちの「使い」が年始に町の数カ所に現れます。そこで今年は、港に泊まっている船の中に設置されたその「手紙の正式受取所」まで行って来ました。

 

このような感じで、船の前に行列が出来ています。市役所などにもあって、場所と時間によっては1時間待ちくらいの列ができることも少なくありません。舟に乗ると、その使いの方たち(王様ではありませんが、さすが、とても豪華な衣装をまとっています)が一人ひとりの子供達から手紙を受け取って、「去年はいい子にしていましたか?何を手紙に書いたのですか?」と話をしてくれた上で、手紙をきちんと受け取って宝箱のような郵便箱に入れてくれるのです。もちろん一人あたりほんの1分もないくらいですが、子供達はもうびっくり感激です。(ちなみに4歳になったばかりのイウの方は驚いてしまい、まだちょっと逃げ腰でした・・・)

そしてそのレイスの日のイヴ、1月5日の夜は、三博士がバルセロナの街に到着したのを祝って大きなパレードが街で行われます。
その盛大で本格的なこと!

カバルカーダと呼ばれるこのパレードは、最初から最後まで見ると2時間弱くらいも続く、光と音のお祭りで、メルシオール、ガスパール、バルタザールという名の三博士を間に入れつつも、エキゾチックな動物や踊り、子供達の手紙やお菓子、おもちゃ、眠りなどをテーマにしたいろいろな舞台が次々にやってきます。そして、その合間にキャンディを皆に投げてくれるのです。見事にキャッチできる子もいれば、拾って集める子供もいて、ここに集まってくる何万人もの子供達みんなに少なくとも数個のキャンディが行き渡るくらいの量は、合計何トンにもなるそうです。

もちろんすごい人混みなので、ほとんどの子供は親に肩車されて見ます。2時間の肩車はさすがに辛いのですが、盛り上がること盛り上がること。

そしてパレードが終わると、三博士たちは、「おやすみ、今夜みんなの家にプレゼントを届けに行くからね!」と去っていきます。
ここまでされて、サンタクロースならぬ三博士を信じない子供がいるでしょうか?この街ぐるみでの壮大なイベント、初めて見たときは本当にびっくりしました。

家に帰って(夕食後にこのパレードを見に行って帰ってきたらもう寝る時間です)、寝る前に、窓のそばの机の上に、三博士たちがラクダに乗ってここまで訪ねに来てくれた時のために、ほんの少しだけ窓を開けて(寒いので鍵を閉めない程度に)お酒や水、食べ物を少し用意しておきます。今年は子供達が自分で作った手作りのクッキーを3つのお皿に一つづつ置いておきました。

そして朝起きると・・・、

じゃーん! クッキーが齧られていて、その横に待望のプレゼントが!

「うわー!本当に来たー!!」と子供達も大喜びです。温のクラスメートの中には、「今年こそ一晩中起きていて王様たちをつかまえる!」などと意気込んでいる子供も居るそうなのですが(笑) ぐっすり寝ている子のところにだけ、やって来るようですね。

そしてこの日、もうひとつ、この日を祝う特別なケーキを食べますが、この砂糖漬け果物で飾られた丸いコカと呼ばれるお菓子の中には、小さなセラミック製の王様の人形と、一粒の乾燥いんげん豆が入っています。みんなに切り分けて、王様が当たった人は紙の冠をかぶって今年ツイてる人、いんげん豆が当たった人は、このコカの代金を払う人、という決まりになっています。そしていつものように、子供達に王様があたり、大人たちにいんげん豆があたるのでした(笑)。

というわけで今回もちょっと変わったクリスマスのお祝いについてでした。形はいろいろですが、クリスマスのこういった風習は、家族や街、社会全体で子供達に演出する大きな劇、という感じでもありますよね。日本で私の両親が祝ってくれたクリスマスは本当に家庭的なものでしたが、それがこちらではもうちょっと地域ぐるみになっている気がして、そのことはとても新鮮でした。それぞれの家族がそれぞれのやりかたでお祝いすることもできますし、こちらに住んでいる外国人などでは、いやいやうちはサンタクロースだけと決めています、という人ももちろん居ます。ただ、子供達が学校の友達といろいろ話す年齢になってくると、大人の方もいろいろな説明をして上げる必要が出てきます。

プレゼントを目の前にすると子供達はどうしてもはしゃいで他のことを忘れてしまいますが、どうしてプレゼントがもらえるのか、去年一年を振り返っていい子でいたか、今年はどういう年にしたいか、ということを、ゆっくり話すためのいい機会にしたいなと思っています。

まだまだ寒さも続きますが、みなさんもどうか風邪など引かないよう、引き続き楽しい冬をお過ごしください。

ではまた次回まで。


Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに
7歳の温(おん)と3歳のイウ、の二人の男の子を育てています