-011.現代アートを見に行こう

エッフェル塔もパリの冬の空に頭を隠してしまったような日は、ミューゼアムに行こう。
パリで現代アート美術館といえば、まず思い浮かぶのはパレドトウキョウ、ポンピドーセンタ-。
他にもまだまだあるけれど、私の主人がイタリア惣菜を売るマルシェも近くにあるという個人的理由で今週はパレドトウキョウに行くことにした。

 

ホールに入ると地下にある大きな雲のオブジェが目に飛び込んできた。

その雲から降った雨が地面できらきら輝いている。
今日はこの展覧会 FABRICE  HYBER のMatières Premières  を見ることに決めた。
FABRICE  HYBERは、現在もっとも独創的なフランス人アーテイストといわれている。

彼の作品のベースになるのは、何かが生まれるまでの経過、移動、発展していく段階であり、常に動いているもの(空間だけでなく時間的感覚においても)である。
展示会のテーマMatières Premières、マテリアル、素材というのは、空気、雲等も含めたそこに存在するあらゆるものが含まれる。

彼はそれらをさらに分解してばらばらにしたうえで彼なりに再構築する。
大きなナイロンの雲、透明な糸でできた雨、クリスタルの水滴は彼の手にかかって素敵な光を放っていた。
この展示会はある順路をたどりながら作品を見ていくようになっている。
一人のスタッフが一緒に見てみる?と案内役を買って出てくれた。
1メートルキューブのルージュ(ちなみにYSLの赤)は、展示会場の真ん中でコンクリートキューブの上に乗っている。

さっきから漂っていたロウの香りはこれだったんだ。

子供たちは、エーこれ口紅でできてるの?と圧倒されていた。

 

アーテイストの頭の中を描いたクロッキーの前を通って、次の部屋に行くと、白っぽい布が何重にも干してある空間が現れる。
目をつむって、手に触れたものをどう感じたかを口に出しながら、最後まで進んでごらん。と言われ、みんなでスタート。
見えないことによって、指先に意識が集中する。

感覚を一瞬で言葉にするのって難しい。
次の空間には、幾つもの小屋があった。小屋の戸をあけると中から突風がふいたり、稲妻と雷が鳴ったりする。
子供たちは面白がって何度も出たり入ったり 大喜びだ。
安全なはずの小屋の中が外になってしまった驚き、違和感。
私たちの知覚を揺るがし、頭の底に沈んでたまってた泥をかき回されたようなな楽しい展示会だった。
フラッと行って、こんな楽しい展示会に出会えるパリはやっぱり素敵だ。
同時開催中のMAC/VALにも行ってFABRICE HYBERの世界をもっと堪能したくなった。

 

INFO:

パレドトウキョウは2013年1月14日まで。
http://www.palaisdetokyo.com/fr/exposition/exposition-monographique/fabrice-hyber

パリ郊外にある現代美術館MAC/VALでの展覧会"Prototypes d'objets en Fonctionnement" 委細はこちらから。
2013年1月20日まで。
http://www.macval.fr/francais/expositions-temporaires/fabrice-hyber-prototypes-d-objets/

column by ジャックゴルノー 純子/Jacgorno Junko
アクセサリー・デザイナー/たまにコーディネーター
2007年よりヴィンテージパーツを使用したアクセサリーブランド”j.jacgorno”をはじめる
作品はクリエーターが集まる展示会やマレ地区のブティックCULOTTE紹介
娘二人の母でもある