015.畑を作ろう

みなさんこんにちは。


永遠に続くかのように思われた暑い夏が、豪雨の後突然過ぎ去って、朝は少し肌寒い日を迎えるようになってきました。

長い夏休みも終わって本格的に新学期が始まり、3歳の次男がめでたく長男と同じ学校へ通えることになったので大喜び。
(こちらは3歳までの子供たちがいわゆる保育園へ行き、3歳から12歳までが「幼稚部」と「初等教育部」を併せ持つ小学校へ通います)今まで何度も何度も遊びに来て、沢山の友達がすでにいる大きな学校へ、やっと通えることになったのですから。

とはいえそんな状況で居る子供はほんのひとにぎりだけ。
他のクラスメートの子供たちは、一度も保育園にも通ったことのない子供や、カタルーニャ語をほとんど話せない子供、そもそもお母さんからほとんど離れたことのない子供だっているのです!
朝来るたびに泣いてしまう周りの子供達を慰めてあげるのも、彼の大事な仕事の一つになりました。

新学期が始まって、学校ではもちろん授業や、それから数々の課外活動もありますから、みなとても忙しくなるのですけれど、並行して、皆で楽しみにしていた「畑」のプロジェクトが、再開することになりました。
これは子供たちだけでなく親たちの課外活動として、有志の先生と保護者達で提案して去年の冬から始まったものですが、庭に畑のある家で育った人、農業やガーデニングを仕事としてしたことのある親を集めて皆に指導してもらい、授業の時間でも放課後の時間でも、いろいろな活動に最大限利用します。

学校にとってはカリキュラムにもない、まったくのエクストラなプロジェクトですが、大人も子供も先生たちも、それはそれは盛り上がって予想外の反響をもたらす、楽しい場所になっています。

去年の春にこの畑のプロジェクトを始めたときは、実は種まきの時期が遅すぎていろいろな野菜の実が本格的になる前に夏休みが始まってしまい、実を収穫するところまで辿りつけなかったのですが、色とりどりのハーブや野菜の綺麗な草葉や花の色をみんなで楽しむことが出来ました。

そして2ヶ月半もの夏休みの後、ものの見事に雑草だらけになった畑を、種を植えるために綺麗に掃除して耕すところから、新学期のガーデニングを始めます。

畑の場所は、なんと校庭と、学校の塀の間の隙間。
木や垣根のためのスペースとして幅1.5メートルもない場所に両側から柵が付けられていましたが、時々外の道からゴミを捨てる人がいたりするということで、子供たちも入ってはいけない、狭くて閉じられた鬱蒼とした領域になっていた場所でした。

その帯状の敷地に、日光を当てるために柵を間引いて、ゴミや雑草、落ち葉、余分な木と垣根の葉などをすべて取り払って畑を作ります。
バラ科の棘のある木もたくさん生えていますから、作業は手袋をはめて慎重に。
とはいえその横で、手伝っているふりをしてガーデニングのための道具を持ちだして、柵の反対側の砂場を耕して遊んでいる子供たちもたくさん出てきます。

こちらの学校には、普段「掃除の時間」というのはなく、校舎や校庭の清掃は専門の業者の人たちが入って放課後や早朝に行われているのですが、こんな風に初めて公共の場所を皆で一斉に掃除するというチャンスを与えられて、子供たちも大興奮です。
普段見えない学校の敷地の一部に入れることも、たくさんのゴミが落ちていることも、植物がこんなに生えていることも、こんな風に大人の手伝いができることも、皆新鮮な驚きなのです。

どの子もみんな一生懸命に手伝いをしたあと、「今日は僕、沢山仕事をしたよ!」というのがうれしそう。
有機ゴミのコンテナがいっぱいになるまで葉っぱをつめこんで、今日の作業はおしまいです。

これから冬野菜を植えていきますが、さあクリスマスまでに食べられるかな?
またその後のこともこれからお伝えしていきたいと思います。

では次回まで、ごきげんよう。

Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに
6歳の温(おん)と3歳のイウ、の二人の男の子を育てています