-013.le floral

以前にも一度お花モチーフについて書きましたが、今回は第二弾です。
あれから時間も経ち、気がつけば、またまた家のあちこちに花ものが溢れています。
最近は以前にも増して、クラシックなスタイルが好み。
マリー・アントワネットが愛でたようなロココな香りを感じるものなどに心躍ります。
本当はベルサイユ時代の王妃私室のように、花模様のリネンをふんだんに使った部屋に住んでみたい!
でも実際には、共同生活者である夫の意向も尊重しなければならず、
あまりに乙女過ぎるデコレーションは控えているのですが。。。
薄いローズピンクやモーブなどフェミニンな色彩も実は大好きなんです。
ナポレオン3世時代、当時のフランスで流行した優美な曲線を描く椅子や棚などは
やわらかな形状や飾り付けがフェミニンではあるけれど、
素朴な木を使ったものが多いので、ロマンティックな印象が緩和されているものが多く、
18世紀後半の家具を時間をかけてゆっくり探してみたいというのが、秘かな楽しみになっています。

というわけで、まずはちいさな雑貨や小物をせっせと集めては、時おり眺めて楽しんでいる今日この頃。

バラの装飾がついたオバール型のフレームは、
田舎のブロカント市で見つけたもの。
燻したような深いグレーに塗られたペンキはところどころ剥げかけてしまって、
地の木の色が出てしまっているけれど、それもなんだか味わい。

小さな花器は、バルボティーヌと呼ばれる立体的な装飾と色付けに特徴のある陶器。
16世紀にフランスで生まれたと言われ、アールヌーボー全盛の19世紀初頭にかけてたくさん製造されていました。
現在でも南仏を中心に生産されているので、
アンティーク市やブロカントだけでなく、現行モデルを探しにゆっくり南を旅したいと考えています。

2枚のカードは、バラやチューリップ、蝶々が立体的に飛び出すタイプの古いカード。
ある朝、手書きのメッセージを添えたこんなカードが届いたら、さぞ嬉しいだろうな~と想像しています。
余談ですが、先日、とても素敵なマダムへインタビューする機会があり、
仕事が終わってもうすぐおいとまというタイミングで、彼女が言ったこんなひと言がとても印象に残っています。
「お友達の家にディナーに招待された日は、お花は持っていかないわ。
だって食事の準備に忙しい時にゲストからブーケを渡されたら、花器を選んだり、

飾る場所を考えだり、と余計に忙しくさせてしまうでしょう?」
だから、彼女は、翌日にお花が届くようにあらかじめ手配しておくのだそうです。
もちろん、「昨日はとても楽しかった、メルシー」という手書きのメッセージを添えて。
素敵!とてもスマートでエレガントだわー、と感心したエピソードです。

花、花、花。とにかくお花が好き!
こんなにお天気が良くて気持ちいい季節なのに、
家に籠って仕事をしている私は、自分のモチベーションを上げるべく、美しい花の小物に癒されています。
もちろん、本物のお花はなにより嬉しいですけれどね。

Column by 鈴木ひろこ/Hiroko Suzuki
スタイリスト・ジャーナリスト
パリの街をお散歩しながら、モード、人、もの
店などいろいろなカワイイ!を見つけるのが趣味
著書に[フレンチシャビーなインテリア][大人スウィートなフレンチ・インテリア]ともにグラフィック社