-011.春の家族小旅行

みなさんこんにちは。

 

日本でもゴールデンウィークがありましたが、その直前、5月1日までがこちらでも4連休だったので、家族で旅行へ行って来ました。バルセロナから 車で南へ海にそって3時間くらいのところにある、デルタ・デ・エブロという三角州、スペインでも有数の水田地帯です。とにかく周囲は真っ平なので、サイクリングが盛んです。あちこちで普通の、あるいはタンデムや家族乗り用のちょっと特別な自転車のレンタルショップを見かけることができました。

そして、水田地帯のすぐ横には、なだらかにどこまでも続く砂浜が広がっています。まだ4月の下旬ですから水は泳げるほど暖かくはないのですが、靴 を脱いでちょっと裸足で水に使ったりするのは本当にいい気持ち!子供たちはもうほんのちょっと、もうちょっとだけと入っていくうちに、すっかりズボンがぬれ、脱いでパンツだけになるといつのまにかパンツもびしょびしょに、しかもハナタレ小僧になって震えてしまうのでしたけれど。

 

現在3歳と4ヶ月のイウは、この旅行の直前になんと補助輪なしで自転車に乗れるようになってしまったので、ちょっとフラフラしながらも、マイ・ チャリ持参で頑張りました。6歳半の温が自転車に乗れるようになったのは5歳ちょっとの頃でしたから、なんという差!次男パワーというか次男の「兄貴にできて俺にできないわけはない」という思い込みの力はやっぱりすごいのです。

 

 

今回の旅行では、子供たちにとっても大事なことを教えてもらったような気がしました。それはほんの些細な大人と子供の意見の対立から見えたことですが、まるで人生の教訓のような気さえしてくるほど私達にとっては大事な発見でした。それがどんなことだったかというと、私たちは今回の4泊の旅行中、3 日は午前中か午後に海辺を散策したのですが、どこも本当に広々と美しい「どこまでも続く海岸」だったのです。この状況は大人にとっては本当にクセモノで、 足元に転がっている貝殻もきれいだけれど、もうちょっと遠くまで行ってみたいな、あそこに見える塩田まで行きたいな、あるいはあのもうちょっと先に見える灯台まで行ってみようか、という気持ちを抑えるのが本当に大変です。散歩一つにしても、大人はなんだか目的を設定してしまったり、あるいはもうちょっと遠 くまで行って全貌を見てから、その後でベストスポットに戻ってきてゆっくりくつろごうと欲を張ってしまうのですが、子供たちはそんな計算はしませんから、 一番手近にある水辺で十分楽しくおおはしゃぎ。「もうちょっと先まで行ってみようよ」「え~いいよ、ここで。」となかなか意見がまとまりません。このパ ターンを何度も繰り返すと、さすがに大人の方も気づいてくるのです。「何も遠くに行って全貌を見たりしなくても、家族で楽しく特別な時間を過ごせればそれで本当に十分なんだ」ということに。そこで途中からはもう「散歩の目的」を設定するのをやめて、本当に行き当たりばったりでそこにあるもので家族で遊んだり鳥や魚を見たりしてのんびり飽きるまで過ごすことにしたのでした。

 

というわけで、ガイドブックにもパンフレットにも乗っているいわゆる「名所」には実はあまり行けませんでしたが(そしてすでにこの地を訪れたこと のある友人たちがせっかくおすすめしてくれた場所にも結局ほとんど行けませんでしたが)、「家族4人で遠くまで行って、おいしいご飯を食べて、そこで友だ ちを作って一緒に遊んで、自転車に乗って遠くまで行って、空や海や水田やそこに写っている景色やらが広くてきれいで本当に楽しかったね~」と大満喫で一家 の旅は終わり、「またいつか戻って来ようね」とこの地を後にしたのでした。

 

着替えは二人共一組づつしか持ってきていないので、一回びしょびしょになってもまだ遊びたかったら、 しばらく裸でいてもらうしかないのです。一回波にさらわれて(!)ジャケットまで全身びしょびしょになったイウですが、 しばらく野生児のように遊んでもらいました。ちなみにこちらでは、ヌーディスト・ビーチでなくても、 「天使とベイビーは裸でも可」ということになっています(そんな言い回しが面白い)。 イウはもうベイビーではないけれど、まあ多めに見てもらいましょう。

とはいえ最終日の帰りに4月23日にバルセロナでも盛大なお祭りが行われる「サン・ジョルディ」の伝説の発祥の地というかその伝説に出てくるお城のある「モン・ブランク城」が通り道にあったので、ちょっと寄って見ることにしました。イウが保育園で絵本を読んでもらってからすっかりサン・ジョルディ のファンになってしまったので、サン・ジョルディの日には間に合わなかったけれど、記念にお城の前で写真くらい撮って帰るかと軽い気持ちで寄ってみたのです。するとなんとサンジョルディの日からこの連休までずっとこの一帯で「中世週間(Setmana medieval de Montblanc)」が行われていて、町の人達も中世っぽい格好?をしていたり、いろいろな催し物があったり出店が出ていたりして、すっかりサン・ジョ ルディのテーマパークと化していたのにはびっくり(笑)。イウが出店の前で「サン・ジョルディがドラゴンをやっつけた槍が欲しい」とねだるので「武器のおもちゃは買ってあげないよ(我が家の指針です。家には水鉄砲も置いてありません)。でもまあ、防具なら。」とサン・ジョルディの盾を代わりに買ってあげたのでした。

 

▽以下の写真は旅で見たいろいろ。。。

いまこの原稿を書いている頃はもうすっかりバルセロナは夏の陽気。
これからどんどん暑くなりますが、この初夏のさっぱりと気持ちいい感じがずっと続いてくれるといいのにな。

ではみなさん次回までごきげんよう!

Column by Tomoko SAKAMOTO
建築とデザインの出版社Actarにて編集の仕事をしながら
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに
6歳の温(おん)と3歳のイウ、の二人の男の子を育てています