-005.年末年始ダイエット「フランス流プチ断食」

 

パリにも寒〜い季節がやってきて、その寒さをツライものから楽しいものへと変えてくれるノエルの雰囲気が、街中のあちこちに溢れてまいりました。年末の慌ただしさはあっても、イルミネーションが輝く夜に何となく心が躍るのは、きっと世界共通なんですね。ママとしてお子ちゃまのクリスマス・プレゼントに頭を楽しく悩ますことも、世界共通なのかも知れませんけれど。

さて、御存知の方も多いこととは思いますが、フランスではクリスマスが近づくと、学校も会社もノエル休暇に入り、多くの人が実家に帰省します。この休暇は、スリム&スレンダー体型の維持に命を懸けるパリジャンやパリジェンヌにとって、戦々恐々とした期間でもあるのです。なにせ休暇中はお呼ばれ&おもてなしの連続、パリにおける日常的な食事が地方に比べると7割くらいの量であるのが普通なのに、ひたすら大食。そのうえ寒さで体の代謝機能が衰えているタイミングなわけですから、どうしても太りやすい時期なのです。

そんな風習があるせいか、フランスでは年末年始に番外編的なダイエットを行う人が多いようです。そもそもフランス流ダイエットは健康的なものばかり。まずその基本的なレギュレーションのようなものを挙げてみましょう。

・質の良い食べ物を多数、少量ずつ食べる。
・五感を最大限に使って、楽しみながら食べる。
・空腹時は無糖のチョコレートや脂肪分をカットしたヨーグルトを食べる。
・1日じゅう、水(多種類のミネラルウォーター)を飲む。
・体重よりも「見た目」を重視する。
・ジムでの運動より、ウォーキングや階段、自転車など日常的な運動を優先させる。
・正しく美しい姿勢を保つ。
・ストレスになるくらいのアグレッシブなダイエットには手を出さない。
・ダイエットをしていることを過度に意識しない。外食はとことん楽しむ。
・1日単位ではなく、数日単位で食生活全般を評価する。

非常にフランス的エスプリに富んだ内容、といえますね。けれどもこの時期──年末年始に限っては、連日のオーバーフロウ(いわゆる過食)により、こういった決め事だけでは間に合わない部分が出てきます。そうなると、意に反したアグレッシブなダイエットをするハメにもなるわけです。

数年前に独自にリサーチをしてみたところ、フランスで行われている年末年始のダイエット事情が明らかになりました。題して「励まし合いのプチ断食」。この方法はあらかじめ大食する日が決まっている場合に適しています。例えば、12月31日の大晦日の晩に御馳走をいただくなら、その1週間前にスタートします。

やり方はいたってシンプル。1日3食のうち、1食は通常の食事(外食やお呼ばれが多い)を思いっきり食べて、あとの2食は野菜ジュースやサラダなど野菜中にします。あるいは、食事の回数をへらしてもかまいません。そして週末の土日は、野菜オンリーの食事にします。そうして事前に2キロぐらい体重を落としてから、年末年始の御馳走パーティに立ち向かい(?)ます。フォアグラ、鴨、赤ワイン、チーズ、ポテトにエトセトラ。好きなだけ食を楽しみましょう。

そして宴の後は1週間のアフターデトックスを行います。宴の前と違うのは、デトックス効果のあるハーブティを飲むこと。疲れた胃腸には、ミント、バーベナ、カモミールなどがオススメです。コーヒーの代わりに1日数杯飲むとよいでしょう。

……え? 「励まし合い」はどこにいったのか? そうそう、そうなのです。このアグレッシブなダイエット、夫婦や親子、恋人、親友同士で励まし合いながら行うと効果は倍増といわれてるのです。確かにそういう環境の中だと、一方的に「私ヤーメた」はしにくいですものねぇ。だけど、そういう義務感みたいなことじゃなくて、夫婦揃って健康的でスタイリッシュでいられるよう前向きにしている感覚がいいじゃないですか……? ママだからってお子ちゃまの方だけ見て暮らすのではなく、ひとりの女として愛する目の前の人を想いながら過ごす時間って、絶対に必要だと思うので。

column by 岩本麻奈/ Mana Iwamoto
皮膚科専門医
東京女子医大卒、慶応大学医学部で研修。市中病院で勤務ののち1997年に渡仏
現在はコスメプロデューサー、クリニックのコンサルタント
化粧品会社コンサルタントを務める傍ら、美容ジャーナリストとしても活躍
オリジナルコスメ『マジエージュ』も評判
近著に『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』(ディスカバ−21)と多数
  19.18.17歳の母でもある
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