-010.L'esprit d'autonne

L'esprit d'autonne/秋の気分

 

朝の空気が少しだけキーンと張りつめて、「うっ、寒い」と感じる今日この頃。
太陽が昇り始めると、窓の外は今日も快晴。
力強くまっすぐな線を残して、飛行機雲が真っ青な空のキャンバスに描かれています。
乾燥した大気中に浮かぶ、いくつもの飛行機雲を見つけた澄んだ秋晴れの朝は、
「なんだか今日一日、いいことがありそう」と、勝手に脳内のうきうき気分いっぱいになります。

さあ、秋本番。
なんだか楽しい季節。
この季節ならではのお楽しみは、ピクニックです。
枯れ葉を踏みしめた時の「サクッ」という音が好きだし、見たこともないような大きなキノコが森の道端でミョッキリと頭を出していて、「食べれるのかな?ちょっとこわい...」と恐る恐る近寄って観察してみたり。
パニエの中には、たくさん拾った銀杏を入れて持ち帰ったり。
暖炉の中に、森で見つけた松ぼっくりを2~3個入れて焼くと松の香りが部屋中に溢れて、天然アロマの効果で満ち足りた気分になります。
そう、私がイメージする秋は、なんといっても「森のお散歩」。
豊かな自然の香りを感じるだけで、俄然元気になってきます。

この季節には、家の中にも、森を連想するかわいいオブジェをいくつか飾ります。
バンビとリスの小さなキャンドルは、雑貨屋さんで見つけたもの。
もったいないから、使わずに飾って眺めるだけですが、森の小動物の佇まいに、癒されます。
大好きな森のオブジェですが、たくさんデコレーションして、子供っぽくなり過ぎないように、胡桃や栗などを添えて。

 

カチンと機械で割って食べる胡桃は、フランス人の大好物で、いろいろなお家にお邪魔すると、たくさんの胡桃の入った大きな器が必ず、テーブルやキッチンに常備されています。
個人的には、殻に入ったままの若い胡桃のファン。
食べてみると、まだ少しだけ青臭さが残っているけれど、その新鮮な味わいは、自然の味覚そのもの。

 

毎週日曜日の朝に通っているマルシェに出店している、マルティーヌさんのビオ野菜の店は、毎回、野菜を買うために、2時間待ちという大行列の人気店です。
季節ごとの新鮮な食材が並んでいて、行列待ちの間になにを買おうかな?とあれこれ迷うのも、楽しい時間。
「このセップ茸はさっとオリーブオイルで蒸し焼きして食べるのが美味しいのよ」とか「ぽちマロン(カボチャ)は、クリームを加えて、スープにしてみて」マルティーヌさん直伝のレシピまで教えてくれるんです。
翌週に行くと、美味しく出来た?と、確認が入って。
私にとって、ちょっと厳しくて優しいお料理の先生でもあります。

四季の中でも、フランスの秋はとても短いもの。
小さなオブジェや、美味しい食べ物で、「パリの秋」を満喫してみませんか?

Column by 鈴木ひろこ/Hiroko Suzuki
スタイリスト・ジャーナリスト
パリの街をお散歩しながら、モード、人、もの
店などいろいろなカワイイ!を見つけるのが趣味