-004.ママ肌の薔薇ぢから♪ “La Vie en Rose”

これまでの人生の中のいくつかの印象的なシーンには、“薔薇”が小道具として絡んでました。至福の喜びのステージであったり、親友への祝福であったり、とびきり切ない別離のシーンであったり……。

もともと生花好きで、日常空間には“お花”をなるべく絶やさないようにしてきたのですが、薔薇の専門店が家の近くにできてからは見事に薔薇一辺倒。香りフェチの私ですから、外見ばかりキレイだけれど匂わない観賞用タイプではなく、芳香がより魅惑的な種を選ぶようにしています。気品のある薔薇の香りは、ときに気分を高揚させてくれたり、ときに鎮静させてくれたり、と私にとっては優れた精神安定剤として作用してくれるのです。

さて、薔薇美容といえば、寝室を薔薇の花びらで覆い、薔薇のおふろに入り、体に薔薇の香りを漂わせ、というシーザーやアントニウスをとりこにしたエジプトの女王、クレオパトラが有名ですよね。フランスでもルイ15世の愛したポンパドゥール夫人、マリー・アントワネット王妃、ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌなど、薔薇をこよなく愛した女性たちの名前が次々に登場します。フランス人にとって薔薇は、いわば日本人にとっての桜と同じように、特別な存在なようです。美しさと若さの象徴であり、「美しいうちに楽しみなさい」という意味が込められています。

昔からフランスでは、薔薇のエキスを使うと口の周りのシワが取れる、ローズウォーター(薔薇の精油を蒸留する際にできる水)には美白やアンチエイジングの効果がある、といわれてきました。現在では美容において、薔薇の花がさまざまな優れた効果を持っていることが、科学的に分かってきました。

まずは、香り成分であるゲラニオールがもたらす、肌のくすみを改善する効果です。また、ゲラニオールやネロールなどの複数の香り成分が、βエンドルフィンやエンケファリンと呼ばれる“脳内伝達物質”の構成に近いことからもたらされる、快感や催淫効果が挙げられます。

そして、薔薇に含まれるタンニンは、収れん作用で肌のキメを整えます。また、女性ホルモンのアンバランスを調整し、生理不順や更年期のイライラなどにも、大変効果があるといわれております。

ではここで、子育てに追われるママだからこそ(!)実践していただきたい、ときにはリュクスな時間を過ごして“女であること”をおもいっきり楽しんでもらうための薔薇の美容法を、いくつかご紹介したいと思います。

薔薇風呂
スウィートアーモンドオイル(スウィートアーモンドの種子を搾った油)大さじ1に、

ローズエッセンシャルオイル(薔薇の精油)を3~5滴ほど加える。

湯ぶねにお湯を半分ほどはってから、それを蛇口の下に注ぐ。仕上げに薔薇の花びらを浮かせましょう。

 

口から香るローズウォーター
ローズウォーターをそのまま飲むと苦いので、4〜5倍に薄めて飲む。

また口の中がすっきりしないときは、ローズウォーターでうがいをします。

薔薇のアイパック
ローズウォーターを5倍の水で割り、コットンに染み込ませる。これをまぶたの上に5分ほどおく。

目のかゆみや、ゴロゴロ感をスッキリさせます。

薔薇とハチミツのリップクリーム
ハチミツ大さじ1と、ローズウォーター小さじ1を混ぜ合わせる。

これを荒れた唇に、日に数回塗る。おいしいので、なめつくしちゃわないように要注意!

ちなみにローズウォーターは、私はオーガニック(BIO:有機栽培)のお店で買うようにしてます。

銘柄によって香りの違いがありますので、自分の好みのものを選んでください。

またアレルギー体質の方は、使用の際に肌などに異常が出ないかどうか、特に注意が必要です。

というわけで、子育てに奮闘中のママさま。

皆さんには“イバラの道”ではなく“バラ色の人生”が待ってるのだということを、ぜひともお忘れなく。

column by 岩本麻奈/Iwamoto Mana
皮膚科専門医
東京女子医大卒、慶応大学医学部で研修。市中病院で勤務ののち1997年に渡仏
現在はコスメプロデューサー、クリニックのコンサルタント
化粧品会社コンサルタントを務める傍ら、美容ジャーナリストとしても活躍
オリジナルコスメ『マジエージュ』も評判
近著に『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』(ディスカバ−21)と多数
19.18.16歳の母でもある
www.dr-mana.com