-009.久しぶりに堪能したパピーとしての責任感、そして

4月の娘の誕生日に、恒例のバースデー旅行に熊本の温泉に行った。あちらはオキナワから、僕は羽田から飛び、福岡で合流。半年ぶりに家族との再会となった。いつもながら、スカイプの画面で見る娘の姿は大きいが、実際に会うと小さい。カラダの大きささえ把握していないパピー。でも、レンタカーのハンドルを握り、“家族の安全はパパのハンドルにかかっている”なーんていう、昔のCFのことばを思い出したりして。すると急に普段忘れている親としての責任感が沸いて来るのであった。

福岡から2時間半程度。硫黄の薫り漂う山中の温泉。さて、着いた着いたと、まずは娘とひとっ風呂。キモチイーッ! という旅行気分もすぐ終わるのだった。夜になるにつれ、娘は喘息発作と高熱が出始めたのである。なんとなくオキナワから吸入器を持ってくるようマミーにいっておいたのだが、正解だった。薬を飲ませ液剤を吸入させたがそれでも収まらず、宿の方に協力していただき、隣の大きな街の病院へ行くことに。帰ってきてからも熱と咳は収まらず、それ以降は、翌日もほぼ宿の中で過ごした。福岡に戻ってからも、まだ咳と熱が収まらず、一番先にしたのは病院巡り。ホテルのコンシェルジェで大きな病院を紹介されたが、行ってみると11:30で受付は終わっており、今度はそこで病院を紹介してもらい開業医の小児科へ。ホテルに戻り、娘を寝かせマミーとパピーも疲れて、グースカピー。まっ、咳と熱はあるのですが、本人はいたって元気なんですけどね(笑)。

そして、夜。なんとか熱も37度代までに落ち着き、長浜の屋台へと繰り出したのでした。心配から解放されマミーもパピーもグビグビーッ。地元の方とも知り合い、みんなで楽しいひととき。これが旅行の最後の夜。翌日、それぞれ住む場所へと帰るために空港へ。いい天気で、娘は咳も熱も収まり絶好調! まぁ、こういうことはよくあるもんですね。いつもは空港内に入れず、見送りカウンターで「じゃね~」だけど、今回はともに飛行機に乗るので、那覇行きの空港内のゲートまで見送りに行った。ボーディングタイムとなり、「じゃね、またね~」と娘を抱きしめたら、「やだ~」と泣かれてしまった。

姿が見えなくなった後、誰もいないスモーキングエリアに行った。熱いものが胸の奥から沸き上がり、抑えられない。やめていたタバコの苦さを味わいながら、一人ウルウルしてしまった。そして僕は一人、羽田行きのゲートに向かったのでした。この旅は、久しぶりに娘を心配するパピーになったのだった。マミーはいつも一人で責任を負っているんだなーと、あらためて感謝したのでした。その後、マミーからの話では、愛娘は飛行機内で泣いて、ふて寝してしまったとの事です。キュンとします、パピーは。

 

「おかけになった電話は、お客様の都合で現在通話ができなくなっております」 なぬ~? オキナワに電話したら、こんなメッセージが流れた。確かに震災でいろいろなことがバタバタしていて旅行後、最近連絡をおこたっていたのは確かだ。でも……。どうやら、オレにナイショで引っ越しをしてまったようなのだ。ガ~ン!それでオレはヒネくれて、フェイスブックにこんなことを投稿した。
「オキナワの家に電話したら、引っ越しをしていた。ふむふむ。」
いろいろな人がこんなことをコメントしてくれた。例えばこんな感じ。
「知ってた?んだよね・・・」「だ、だよね?」「えーっと。。。。。」「えーっと…(汗)」
オレ:「あーーっ、お騒がせしています! 引っ越しすることは知っていたんですけど、今日だとはしらなかったんでーす! すみません!!!!!」
カミサン:「あれっ? えーっと...。言わなかったね。ごめんね。パピー。みなさんご心配かけてすみません。」
みなさん、パピーは捨てられてしまったと思ったらしい(笑)。しかし、人騒がせも甚だしい。アホ家族を代表し、申し上げます! すみませんでした! 
つまりは引っ越しするのは知っていたが、それがその日だとは知らなかったんです。いずれにせよパピーは蚊帳の外。マミーも最近段々と、テーゲー(大概、程々に、いい加減という意味のオキナワの言葉)になってきている。まぁ、オキナワのそんなテーゲーさが、僕はとても好きだ。テーゲーは人を丸くする。娘の日本語が、オキナワアクセントなのは、かなり気になるけどね(笑)。

次回は逆単身パピー、パリへ行く。こうご期待!

column by 細村剛太郎/Hosomura Gotaro
アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどを放浪後、出版社にて雑誌・書籍編集者として勤務
退社後、フリーランスとしてメンズ雑誌、広告、ウェブマガジンなどで活動
十数年前、ユルい空気に誘われ東京から湘南に移住し、波と戯れる
家族の沖縄移住を機会に、いい年こいて某大学院文化科学研究科に在籍
新メディアを研究中
5歳の女の子のパパである