-001.プロローグ”父親になって”

ある日目が覚めたら父になっていたような私でも、10ヶ月と10日の間は何事もおきませんようにと日々祈ったし、4ヶ月になって「もう耳が聞こえている筈ですね」と先生に言われれば、毎晩お腹の中の子に絵本を読み聞かせていた。エコー写真を見せられて、ここが頭でそこが目だと先生に説明されたのに、家に帰ったらエコー写真を逆さまに眺めて「カワイイな~♪」と言ってしまうような私だ。妻は、出産に向けて必要な環境や、身体能力や、心構えをせっせと整えていく中、父になる筈の私はウロウロ・オロオロするのが関の山なのだ。
 
予定日は年明け早々。しかし先生が年始の予定が埋まっていたのかは定かではないが「年末に産んじゃいましょうか」と言って、12月に出産することが決まった。「ほほー」と笑顔で聞いていた私の内心は、ドライブ中に「ちょっとSAで休憩して行こうか?」的な出産日の決め方に仰天していた。
 
出産当日。エコー写真のように産まれてきた赤ん坊を逆さまに抱きかかえて、オシリに向かって「カワイイ~」なんて言ってしまったらどうしましょうという(ある意味どうでも良い)私の恐怖をよそに、私は妻の手を握りしめて励ましようこそ!って産まれてくる子に言うのを待っていた。暫くすると女医さんがやってきて、布の向こうに回って私の立ち位置からは見えないところで、何やらカチャカチャやってキュッってやって、コソコソやったと思ったら「ハイ、出ました」と言って差し出したのがうちの息子だった。種も仕掛けもわからない手品を見てるようだった。生まれてきた息子はきれいな顔でミャーってか細い声で泣いていた。ひとつ理解したのは、今日は妻と2人で過ごす最後の日で、3人で過ごす初めての日になったのだということ。12月13日のことだった。

 

 

 

さて、世の父親とは一体どのように「育児」に参加するものなのか?と、結構考えたものの、

暫くすると「育児」という強迫観念的な言葉は「生活」という言葉に置き換わった。
'We built a life together , and We love each other.' と映画 KRAMER vs. KRAMER でダスティン・ホフマンが言う通り。
 
前置きが長くなってしまったけど[Sonday Week News ]は1週間の息子と父のライフスナップだ。
そして、このライフスナップの第一週目、息子の登場は風邪から始まる。

[-002.風邪になんて負けない!第一週目]>>

Column by LIGHTWOOD/ライトウッド
IT 業界の会社を経営しつつ、現在3才になったばかりの息子の父で
どんな事でも創造する楽しさを教えたいと奮闘中
なるべくデジタル玩具から遠ざけたいと考える父と
父の寝てる間にiPhoneを使いこなすデジタル・ネイティブな3才の息子との闘いが日々続いている