-005.Le Plan

話を聞かない男、地図を読めない女。
アラン&バーバラ・ピーズによる男脳と女脳の謎についてのそんな本が以前話題になりましたが、それ、まさに私!
車に乗ってナビを務めても、曲がる方向に地図をぐるぐる回してしまう。
まあ、最近はGPSの発達で便利な時代になったけれど。

そんな情けない私ですが、子供の頃から地図が大好きでした。
眺めて土地勘を探るということではなくて、行ったこともない場所の地図から、

『どんなところなんだろう?どんな人たちが住んでるのかしら?』と頭の中で勝手にイメージするのが好きです。
それと同じ理由から、FMラジオの成田フライトインフォメーションも大ファン。(今もあるのかな?)
シンガポールエアーが定刻通りに到着するとか、アメリカン航空が45分遅れで出発するとか。
いろいろな国から誰かが旅してきたり、旅立っていったり。
その頃の自分には一切関係なかったのに、たんたんとしたアナウンスを聴いているだけで、心がワクワクしていました。

昔の乙女心(?)にぐっと響いた地図は、大人になった今でもやっぱり大好き。

60年代のイル・ド・フランスの地図は、ブロカントで見つけたもの。
クチュリエが多い8区には素敵なドレスを纏ったマダムや香水瓶が描かれ、

職人のアトリエ街である11区には、家具のイラストがついている。
また、オルリー空港の近くショワジー・ル・ロワは陶器が有名だったり、ヴァンセンヌの森の東側、モントルィユ・スゥール・ボワでは、

フルーツ農園が盛んだったりと、パリ近郊の各地の産業を知ることもでき、時々眺めては『フムフム、そーだったんだ』とひとりで納得。
けっこう勉強にもなっています。ラフなタッチの絵もレトロでいい感じ。

地図とは少し違うけれど、北フランス、カレの大聖堂の写真がプリントされている宝石箱も、大切にしている宝物。
リールの蚤の市で買ったこの小さなガラス箱はアクセサリー入れに愛用しています。
カレといえば、レースで有名ですが、この箱を開ける度に、繊細で綺麗なレースの街へ、

いつか訪ねてみたいと、思いを馳せています。

また、最近のマイブームは、地形がモチーフのマグネット。
集めはじめて間もないので、まだクロアチア、コルシカ島の2つだけですが、

冷蔵庫に飾って、楽しかったヴァカンスの思い出に浸ったり。
どこにでもあるスーベニールショップで買えるものですが、あまりキッチュ過ぎないものが、私の好み。
大量にコレクションするのではなく、本当に気に入ったものに出会えた時だけ、パリの自宅に持ち帰りたいと思っています。

まだ見ぬ知らない土地への憧れや、旅の素敵な思い出をいつも身近に感じていたくて、

地図雑貨への興味は増々ヒートアップするばかりです。

Column by 鈴木ひろこ/Suzuki Hiroko
スタイリスト・ジャーナリスト
パリの街をお散歩しながら、モード、人、もの
店などいろいろなカワイイ!を見つけるのが趣味