-006.フランス de マタニティ〈後編〉

いよいよ38週目!
予定日も1カ月後に控えると、無痛分娩の麻酔師にアポをとり、事前検診を受けることに。と同時に病室を予約し、赤ちゃんの諸々を詰めた入院バッグをつくる のです。日本の友人曰く、「ボディは着せづらいから、短肌着の上に長肌着やコンビ肌着を重ねるだけで良い。赤ちゃんは足や頭から体温を逃がすから、靴下や 帽子はいらない。」とのことだった。しかしフランスの入院準備リストを見ると、ボディ、長袖カーディガン、パジャマ(グルノイユ=靴下付き)、帽子、靴下 または靴、と複雑な装いが書かれている。どうやら気候の違いなのか、日本のように暖かい新生児専用室がないのか?、頭や足を冷やさないようにと入念に教え られた。また、フランスは室内でも靴文化だからなのか、産まれたての赤ちゃんにも靴を履かせるのが当たり前らしく、生後1カ月用の靴のプレゼントが目立 つ。日本の友人はじめ子持ちの姉からも、「靴は歩くまで履かないからね~」と言われていたのとも、これまた違う。さらに、彼のママンは嬉しいのか、1カ月 用の外出トップスばかりを買ってきてくれる。しかし私の中では、産後1カ月はシンプルに短肌着、長肌着、とひきこもりルックで過ごそうという計算だったの だが・・・。このギャップは一体?と、日本とフランスの赤ちゃんの服装の違いに関しては、その場になるまで疑問として残すことにする。
 さて、妊 娠末期で辛かったのは、睡眠不足。お腹はどんどん重たくなるし、時々横にひっぱられて痛くて眠れないのだ。先生曰く、「ホルモンの変化によるものと、授乳 に備えて赤ちゃんの睡眠リズムに身体が同調し出したのね」とのこと。睡眠不足で疲れが溜まると、今度は肩、首、腰が驚く程痛くて束の間の睡眠さえ難しく なった。そこで薦められるままにostheopathe(日本で言う整体師のようなもの)に2回かかることに。私がかかったのは、彼のママンが重宝してい る、山中にある無口でオーラのある整体師。たったの5分でスッと痛みを

解消してくれたのにはさすがに感激。水晶と中国式の整体本に囲まれたスピリチュアル な診察室が印象的でした。また、フランスのアパートならではの問題なのか、夜更けにふと眠りに落ちる波が2時間待ってやっときた、と思うと、タイミング良 く上の階の赤ちゃんの泣き声や、物を置く音で目が覚め、また眠れないループに陥るのにはお手上げだった。日本の一軒家にいたら、こんなトラブルはなかった だろう・・・。これも、床が畳でなく大理石だったりと、物音が響きやすい家の構造ならではの問題点なのかも知れない。
 さて、気になる体重増加 は、フランスに来て3カ月の間に7キロ増加。日本で過ごした5カ月では7キロ増加!今日本では、トータルで7キロ増しが良いと言われているとか。。。フラ ンスに来てからのピッチが早いのは、2カ月間ママンの家で寝て食っての田舎生活を送っていたからでしょうか。よく里帰り出産であげ膳すえ膳をしてもらって 太るとは言うけれど、逆の嫁入り出産でも、これだけ妊婦は太れるのでした。ちなみに、「最期の1カ月は驚く程のスピードで太るから要注意!」と誰からも口 を揃えて言われていたけれど、困った睡眠不足のおかげで、38週目の現在も1キロ増加に抑えられる気配がします。
 常に食欲旺盛だったわたしは、「身体が小さい人は太り過ぎると帝王切開になるから気をつけて」と何人かに言われ続けヒヤヒヤしていたけれど、38週目のscannerでノーマル分娩ができることが確認されてホッ。ちなみに赤ちゃんがこんなに大きくなっていて、しかも逆さま宙ずりのような状態でいる事実を目の辺りにして・・・。
いよいよ迫ってきたな、おりてくるぞー、とドキドキの心境へと変化。
 移住と同時にフランスで迎えることになった初めてのマタニティライフ。慣れない国で過ごす大変さは多々あったけれど、毎回の検診で胎児に何の問題もなかったことに感謝するのでした。

column by 下野真緒/Shimono Mao
1977年東京生まれ
女性ファッション誌で編集に携わった後、2009年南仏&パリへ留学
フリーランスエディターを続ける傍ら、2010年6月にフランス人と結婚
南仏ピレネー近郊に住む。現在出産を控え、新人ママへの道まっしぐら!