みなさま、こんにちは。
皮膚科専門医のDr.MANAこと岩本麻奈です。
パリの街はキンモクセイの香りが漂う代わりに、いがいがの栗がごろごろしてまいりました。秋たけなわ、ですね。
今回は第一回ということで、自己紹介も兼ねて回顧録とさせていただきます。
ほとんどお肌の話しにはなりませんが、どうかおつきあいください。
私は日本で臨床医をしている間、規定通りの産休以外は休みを取らずに、ずっと仕事をしながら子供を育ててきました。
育休などまだあまり認知されていなかった時代です。
しかも立て続けに年子の男の子3人に恵まれ……。
絵にかいたような、団子三兄弟。それはそれは壮絶な子育て体験でした。この時分、実は細かいことはあまり覚えておりません。断片的なことしか記憶にないのです。
大中小すべてのサイズのおむつを買っていたときもありました。長男の育児日記は、それこそ毎日。
『空中を見て頬笑んでいる。きっと天使が横切ったのがみえるのね』……といった具合に、陶酔気味に事細かに記録してましたが、次男ではそれが寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ちなどのイベントのときのみとなり、三男に至ってはまったく記録がなくなって、写真も激減。
気がついたら立ってしゃべってオムツがとれてました。
時の流れが違いすぎる……。相対性理論を実感しましたね。
日本では当時、和室のある部屋に住んでいたのですが、数年で障子は見事に枠だけになり、壁には落書き、畳は変色し、ガラスにはヒビ。
おもちゃ箱からはミイラ化したウィンナー、冷蔵庫にはカセット。こっ……これは怪談にでてくるセットか、びっくりハウス?
と見紛うほどでした。そこを出るときに改装にかかった多額の費用は大変な痛手でしたねぇ。
男子3人ともなれば行動半径も相乗効果で無限大。生傷だって絶えません。
親のせいで一生不憫になることのないよう、事故にあわないように、火傷をさせないように……、と日々を過ごすことで精一杯だったと思います。
私自身の免疫状態も、相当衰弱していたと思いますね。
ちょっとした風邪がなかなか治らず、診察時に患者さんから“先生、お大事に”と云われたことも何度かあります。
子供の手足口病がうつってしまい、口腔内にひどい潰瘍(口内炎のひどいヴァージョンです)がいくつもでき、
絶食が数日続いて強制ダイエットとなったり。
そんな毎日でしたから、疲れて切ってメイクを落とさず、朝まで寝入ってしまうなんてことはしばしば。
パックやマッサージなどのスペシャルケアどころか、普通のシンプルケアさえ満足にできない状態でした。
それでもこうして美容のお仕事を何食わぬ顔でできるまでにリカバリーすることができたわけですから、
人間の回復力というのはすごいものです。
育児中で満足にスキンケアできないでいるママさん、どうか「これを怠ったら◎年老ける」などという、
くだらない言葉の呪になんかかからないでくださいね。
今ちょっとぐらい手を抜いたからって、あなたの“キレイ”は損なわれたりしません。
お子様にかまける時は、おもいっきりかまけてください。子育てを思い切り楽しんでください。後悔のないように。
それに、あなたが子育てを楽しいと感じているその表情は、どんな高級コスメでも得られないあなたの“キレイ”を創造するのですから。
column by 岩本麻奈/Iwamoto Mana
皮膚科専門医
東京女子医大卒、慶応大学医学部で研修。市中病院で勤務ののち1997年に渡仏
現在はコスメプロデューサー、クリニックのコンサルタント
化粧品会社コンサルタントを務める傍ら、美容ジャーナリストとしても活躍
オリジナルコスメ『マジエージュ』も評判
近著に『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』(ディスカバ−21)と多数
18.17.16歳の母でもある
www.dr-mana.com
10/15『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』出版記念パーティ
お問い合わせ先 magieage@gmail.com