香りやにおいから引き出される遠い昔の記憶。
あ、この香りってあの時の...なんてずっと忘れていた思い出が甦ることがありますよね。
人の五感の中でも、繊細なのに鮮明な印象の嗅覚の持つ力ってすごい!と
香り王国のフランスで暮らしてみて、日々実感しています。
以前はどちらかと言えば無臭好きで、まったく興味のなかった香りものですが、
最近ではなくてはならない大切なものになりました。
きっかけは、取材先でお土産にいただいた小さな箱入りのナチュラルパフューム。
箱を開けた途端、すーっと気持ちが落ち着いて、疲れが吹っ飛びました。
香りの持つ癒し効果にびっくり!
以来、積極的に好きな香りものを探して歩くようになりました。
今、一番気に入っているのは、ジャルダン・クルというディプティックのもの。
リラやすみれなど数種の春の花をブレンドした優しい香りです。
一日中、家で過ごす時には、ラクチンな部屋着でお化粧もしないという怠け者ですが、
そんな時でもオー・ドゥ・パルファムをシュッとワンプッシュ。
気持ちのいい大好きな香りに包まれると、だらだら気分が一新されてやる気が出てくるから不思議です。
香りキャンドルも常備しています。
20分ほどキャンドルを灯すだけで、半日は部屋中いい香りに包まれる。
外出から戻ってドアを開けた途端、ふぅーっと脱力するほど、毎日お世話になっています。
愛用しているのは、シール・トゥルードン。
ここは、1643年から創業の世界最古の蠟製品メーカーとして知られるメゾンですが、
海をイメージしたマリンや、百合の花などが特に好きでリピートしています。
バス用石鹼も香りにこだわって選びます。
いろいろと試した結果、落ち着いたのは、サヴォン・ドゥ・マルセイユのミルクの香り。
ボトル入りのリキッドではなく、固形石鹸の方が香りが豊かな気がして、ここ数年愛用しています。
フランスでは定番中の定番であるこのロングラン商品は、保湿に優れて肌に優しく、ほんのりミルクの香りがリラックス効果抜群。
しかも安いし、小さな男の子のイラスト付きパッケージもカワイイし、といいこと尽くめです。
また、ちょっと一息、という時も香りのいいハーブティーで。
愛飲しているのは、ブリュッセルのお茶専門店、コントワール・フロリアンのアロマティー。
ブリュッセルに住んでいる友人からお土産に頂いて以来、大ファンになり、
お茶を買いに日帰りベルギー旅行に行くほどのお気に入り。
オレンジやナッツが配合されていて、
ほのかな甘い香りが幸せな気分にしてくれます。
いい香りに包まれるだけで、なんとも言えない贅沢な時間が流れる。
家で過ごすことが多くなるこれからの寒い季節のささやかなお楽しみは、
リラックス出来る大好きな香りものと暮らすことなんです。
Column by 鈴木ひろこ/Suzuki Hiroko
スタイリスト・ジャーナリスト
パリの街をお散歩しながら、モード、人、もの
店などいろいろなカワイイ!を見つけるのが趣味