-005.オランダのおすすめスポット

我が家の夏休み アムステルダム後編 

さて、今回はいよいよオランダで私たちが「どこへ行ったか」という話をしたいと思います。我が家の男の子二人は乗り物好きなので、二階建ての電車やチップ カードをタッチして乗るトラムやバス、そして好きな場所で乗り降りできるアムステルダムの運河クルーズなんかも楽しかったですし、蝶の温室のある動物園や アムステルダム内の都市公園などもいろいろあるのですが、子供のいる読者のみなさんに私たちからとびきりおすすめしたいスポットは3つ。それは科学博物館 のNEMO、ユトレヒトのディック・ブルーナ・ミュージアム、そして今年完成したばかりのバイルマー・パークです。

 

科学博物館のNEMO

科学博物館、NEMO。屋上広場は傾斜して右手の地面までつながっています。入り口は茶色の塔があるあたり。
科学博物館、NEMO。屋上広場は傾斜して右手の地面までつながっています。入り口は茶色の塔があるあたり。

 1997年に、パリのポンピドゥーセンターなどのデザインで有名なレンゾ・ピアノの設計でオープンしたこの博物館、とても大きくてユニークな緑色の船のような形をしている上、船からも電車からも、多分飛行機からも見えるのでこの建物の中身を知らなくても多分ほとんどの人が「あの建物は何だろう?」と興味を惹かれるはずです。すぐそばに中央図書館があり、この建物もJo Coenen設計で、特にインテリアが最高にカッコイイのですが、こちらはオランダ語の本が読めない人にはちょっと残念ですしあまり子供向けではないので、サンドイッチでないランチを食べたい場合のレストラン候補としてとっておくだけでいいかと思います。とはいえ行ってみたらたまたまオランダではとても有名な絵本作家Annie M.G. Schmidtstraat (Jip en Jannekeという絵本のシリーズがオランダでは大人気)の生誕100周年記念展示が行われていて結局子供たちもおおはしゃぎ、すっかり彼女のファンになってしまいました。

 

本当に小さな子供たちからティーン向けまであらゆる年齢の子供が夢中になれるインタラクティヴな科学の展示がとにかく盛りだくさん。うちの子たちは竹の家にスタイロフォーム製の壁をはめこんで家を作るコーナーと大きなシャボン玉を作ってその中に入れるというコーナーにすっかりハマってしまいました。屋上は入場料を払わなくても入れる公共の階段広場になっていて、巨大なチェスなどのおもちゃの他、水の階段などがありました。天気も良かったので最後には二人ともまさにパンツ一丁で大騒ぎ(こんな場所があると知っていたら水着を持ってきたのに・・・)。午後博物館を後にした頃には、なんと入館から7時間も!経っていました。

ユトレヒトのディック・ブルーナ・ミュージアム

展示室の一つ。ミッフィーの絵本はたくさんの言語に翻訳されています。でも皆同じサイズ、同じ色調にしっかりと調整されているので並べてもこんなにきれい!
展示室の一つ。ミッフィーの絵本はたくさんの言語に翻訳されています。でも皆同じサイズ、同じ色調にしっかりと調整されているので並べてもこんなにきれい!

ミッフィー(うさこちゃん)の絵本が日本でも大人気なディック・ブルーナのミュージアムです。ミッフィーの絵本自体は何十ヶ国語にも訳されていますが、日本での人気は本当に特別なものらしく、なんと館内のすべての展示と音声ガイドが「オランダ語、英語、日本語」という三ヶ国語で用意されていたのにはびっくりしました。本当に、「ようこそ日本の皆さん!」という感じで、歓迎されているのを感じましたよ(笑)。しかも館内では本当に、来場客の三分の一が日本人だったのではないでしょうか。子供連れの家族はもちろん、幼い頃ミッフィーの絵本を読んだ大人と思われる来場者も沢山。そしてそれを見越したかのように、展示も、目の高さもコンテンツも、子供たちが楽しめるものと、大人たちが楽しめるものと2つしっかり用意されています。ディック・ブルーナはミッフィーの作者である前に優れたブック・デザイナーでもあり、その様々な作品やミッフィーを描く時のものすごく緻密な制作プロセスの解説が見られたのも我が家のダビ(職業はグラフィック・デザイナー)にとっても意外な収穫。特別展では、様々なアーティストのコラボで「デコラティヴ・ミッフィー」を作るという壮大な企画が行われていて、これは特に日本の女の子たちが見たら卒倒してしまいそうなかわいさでした。ちなみに「ミッフィー」という名前は英語訳の時についたものらしく、オランダ語では「ナインチェ」というそうです。日本語的な語感が良くないと思われてミッフィーの名がが採用されたのかもしれないのですけれど、個人的にはこのナインチェという名前はとっても気に入ってしまいました。

バイルマー・パーク

この公園は今年の5月に完成したてほやほやの、アムステルダムの郊外南にあるスポーツ・パークです。私たちの滞在していた家から徒歩10分(つまりアムステルダム中央駅からは約40分)。もともとは近いしせっかくだから、という理由で行ってみたのですがこれがびっくり。メカノーという有名な建築家グループが設計しているのですが、そこにある児童公園のデザインのカッコ良さと言ったら、個人的な経験からいうと今のところナンバーワンかも!です(ちなみにバルセロナにも世界に自慢できるレベルのデザインを誇る公園がいくつもあります。その話はまたいつか)。子供を連れてアムステルダムを訪れたら是非ここにも立ち寄って欲しいだけでなく、建築家や建築学科の学生たちも是非見てほしい。そしてこんなに志の高い面白い児童公園が世界中に作られてほしい!と切に願わずには居られない、そんな公園だったのです。これが完全に入場無料なんて!というくらいすごいレベルです。

 

児童公園というとブランコや滑り台、ジャングルジムが定番ですが、それらをところどころに盛り込みながら巨大な遊戯装置が2つ作られていて、2歳のイウにはちょっと難しい場所もありましたが、5歳の温は完全にサルと化して狭い場所、高い場所にどんどん登って行きます。私もイウと一緒にあとからついていくのですが大人にはちょっと大変かも。子供の身軽さがあらためてうらやましい。そして砂と水で遊ぶことに特化された高台があり、本格的なスケートパークも併設されています。このスケートパーク、スケートなしで穴に入って這い上がるという遊びをするのも最高に面白いのですが、本物のスケーターが来たら遠慮しましょう。ちなみにびっくりするほど小さな子供(多分4,5歳)が本格的に滑っていました。

バルセロナのオススメスポットを紹介する前にオランダ案内をしてしまいましたが、今後バルセロナのいろいろな場所にまつわる話もどんどんしていきたいと思います。
最後に余談的にオランダで面白かった出来事を2つ写真で。

道を歩いていると普通に運河があり、そこには当然のように白鳥やカモがいます。自分の背よりも高い白鳥に果敢に近づいていくイウ。
なんとなく絵本の一場面のよう。

二階建て電車の中で、切符の拝見。車掌さんが、温の切符にこんな素敵な穴を開けてくれました。

では次回まで、トッツィーンズ(またね)!

 

Column by Tomoko SAKAMOTO
建築とデザインの出版社Actarにて編集の仕事をしながら
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに
5歳の温(おん)と2歳のイウ、の二人の男の子を育てています。