-006.”壮絶”子育て回顧録 〈渡仏以後〉&農園美容のお知らせ

向かって一番右が長男です。渡仏直前の頃。

この4月に長男が20歳、彼が現在暮らしている日本では晴れて成人となりました。私には息子が3人おりますが、特に長男との間の子育てバトルは人生の中でも離婚とともにスペシャルな経験でしたので、なんとも感慨深いものがあります。

子供たちは全員日本で生まれ、5歳、4歳、3歳のときに南仏に渡り、以来、現地で教育を受けておりました。そして慣れた頃に大都会パリへ。それでも子供たちはほどなく馴染み、それぞれ学校の成績も悪くなく、なんの問題もありませんでした。

長男は俗にいう“魔の14歳”で歯車が狂いはじめました。成績の急降下、不登校、昼夜逆転、激しさを増す兄弟喧嘩──。身長や体力が私を追い越すのに比例して、とにかく私のいうことをまったくきかなくなりました。

学校の勧めで“地元のカウンセリング”に兄弟全員と通いはじめ、時に自宅訪問もしてもらっていたにも関わらず(実は逆にそのために──というこの一件はま た別の機会に)、状況は日々悪化という緊急事態でした。そして半年程たったあと、最終的に担当のカウンセラーに“我々ではこれ以上対処できない。他の2人 の兄弟への影響も懸念される。日本に戻して学業を続けさせることはできるか?”と匙を投げられたのです。フランスでは不登校は“親の責任”ですし、夜の騒 音で近所から苦情はでておりましたし、そのままでは家族全員の滞在許可にも問題が波及しかねませんでした。

 

 

そんなわけで、考えに考え抜いた挙句、日本になかば強制送還のようなかたちで帰国させることにしました。日本で高校卒業まで頑張れば、パリに戻っていいという約束です。なんとか全寮制のインターナショナルスクールに就学させ、とりあえず中学校は卒業しました。そしてそのまま高校に進学したのですが、休み明けに髪を金髪にして登校し、あげくに勝手に高校をやめてしまいました。やめる直前に誰かに入れ知恵されたのか、「日本の学校は嫌い。何とか頑張るからアメリカの高校に行かせて欲しい」といい出しておりました。それが目的の自主退学だったのかも知れません。

 


「高校をやめて働くというのなら、それは立派な選択肢。私は支持する。だけどアメリカっていうのは話が違う。高校卒業資格なら日本でも取れるでしょ? いったい将来、何をしたいわけ?」
「……ラッパー」
「ラッパー? いいわよ。でも、それなら学歴は関係ないよね? アメリカに行くのはかまわない。ただし、行くなら自分でお金を稼いで行きなさい。今の時点では約束は何も果たされていないし、アメリカ留学を応援しなきゃならない筋合いはないわよ」

 

私の決意が揺るがないのを知り、そのままでは高等教育への道が完全に絶たれる、と思った長男は、オーガニック農園でのファームステイや、バイトしつつ下宿しつつ、とうとう“自分の意志”で猛烈に勉強をはじめました。そしてほぼ独学で、1年もたたないうちにアメリカの高等学校卒業程度認定試験にあたるGEDを結構な成績で通過しました。翌年にはTOEICで900点近く、TOEFL iBTに至ってはほぼ100点という、大学どころか大学院への留学すら可能なレベルの点数を取り、母親として喜ぶどころか、それを通り越して驚愕させられました。いったい彼はどれだけの努力をしたのでしょう……? 点数がいいとか悪いとかそういうこととは全く関係なしに、ちょっと感動的ですらある出来事でした。ともあれ今は、この秋から晴れてアメリカ西海岸の大学でキャンパスライフを送るべく、準備をはじめている様子。がんばって、せっかくだから高学歴ラッパーをめざしてちょうだいね。

「世界で一番悪いママ!」
「あら、光栄だわ」
「もうママはママじゃない。これからはママとは呼ばない。マナさんと呼ぶから」
「ふーん。ママとマナ、一文字違いだわね」

そんな小競り合いをしたのも、まるで遠い過去の話のよう。今では誕生日には言葉少なな「おめでとう」のメイルを送ってくれたり、旅行にいけばちょっとしたお土産なんかを買ってきてくれる、ちょっと優しいところのあるフツーの息子になりました。なんでもないフツーの親子関係こそかけがえのないもので、幸せなものなんだということに改めて気づきました。子育てでは、私もいろいろなことを自然と学ばせてもらっていたのですね。

渦中にあるときには悩みもしたし考え込みもしましたが、こうして過ぎてみれば一瞬。けれどその一瞬の中には、大切なものがいろいろ、たくさん詰まっています。それは私だけの“経験”という名の宝物。ある意味、道を踏み外して戻ってきた長男からの贈り物でもあるのでした。

今、子育てに奮闘しているママさん。大変な時期は、そうそう長く続くものでもありません。きっともうあと何年かで、子どもたちは自分たちの元から巣立っていくのです。だから1日1日を、愛するお子ちゃまたちと一緒に、どうか大切に過ごしてください。その場その場の幸不幸、そんなのは後になってみなければ判らないものです。真剣に、だけど決して一喜一憂し過ぎたり深刻になり過ぎたりすることのないように──。

昔から“寝る子は育つ”という言葉がありますが、実は「寝てる間に子は育つ」だったりもするのですから……。 


【山下さん】

お話は少々変わりまして……。
この7月1日にJALPAK主催、あの“奇跡の野菜”で知られる山下農園さんとの初めてのコラボレーションによる『健康美容ツアー』が開催されます。
光栄なことに私 Dr.Mana が、山下農園の御主人である山下朝史さんとのトークショーのナヴィゲイター役を務めさせていただくことになりました。
トークショーは美容健康ネタが中心になりますが、実は一部でリスペクトを込めて称されている“山下さんの自然哲学”の中には、子育てのヒントもたくさんあるのです。そういえば、野菜をまだ種子の状態から慈しみ土壌(環境)を整え育て上げる、そして収穫を迎え人様にお譲りする──という行為は、確かに子育てにも似ていますものね。

身体にも心にも効く奇跡の野菜をいただきながら、初夏の1日を御一緒しませんか。
なお、ツアーの詳細に関しては以下をご参照くださいね。
JALPAK http://www.jalpak.fr/bk.html


Dr.MANAのブログ http://ameblo.jp/dr-mana/entry-11242921797.html

column by 岩本麻奈/ Mana Iwamoto
皮膚科専門医
東京女子医大卒、慶応大学医学部で研修。市中病院で勤務ののち1997年に渡仏
現在はコスメプロデューサー、クリニックのコンサルタント
化粧品会社コンサルタントを務める傍ら、美容ジャーナリストとしても活躍
オリジナルコスメ『マジエージュ』も評判
近著に『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』(ディスカバ−21)と多数
  19.18.17歳の母でもある

www.dr-mana.com

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  • #1

    Carry Tubb (日曜日, 22 1月 2017 05:51)


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